二人と一匹で同じベッド ページ5
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エースの反応を見る限り、どうやら謝っていないらしい。
まずは謝れ、話はそこからだ。
口を窄めながら、エースはチラチラとこちらを見る。
「オレ、Aなら絶対に寮長が横暴だって言ってくれると思ったんだけどぉ?」
『横暴かもしれないけどさ、盗み食いってのはよくないよね?エースは盗み食い、いい事だと思う?』
「そ、それは…」
…この反応を見ると、エースは自分がやった事がよくない事だってわかってるみたいだね。
なら、まずはエースが寮長に謝らなきゃ。
子どもの様に拗ねた姿が、やはり何処か快斗と似ていて私は放って置けず、思わず手が伸びてエースの頭を撫でた。
突然頭に手が乗って来たからか、ビクッと肩を跳ねさせたエースが驚いた様にこちらを見る。
大きな瞳を何度もパチパチと瞬きさせながら。
『明日、謝りに行こう?きっと許してくれるって、ね?』
「…〜〜〜ッ…………わ、かった」
『よし、いい子いい子♪』
子ども扱いが恥ずかしかったのか、エースは一瞬で顔を真っ赤に染め上げた。
一頻りに撫でて満足した私はエースから離れる。
「食べ物の恨みは恐ろしいんだゾ。…アッ!
そう言えばオレ様もまだ学園長からツナ缶貰ってねえんだゾ!」
「…Aが提案したんだから、一緒に来いよな」
『わかってるって。あ、グリムとユウ君も連れてくからね』
「ふな"!?何でオレ様も!?」
『だって俺達は三人で一人なんだろ?当然じゃん!それに帰りに学園長にツナ缶貰えばいいし』
「ツナ缶…!し、仕方ねーんだゾ!オマエはオレ様の子分だからな!」
『さっすがグリム親分!』
…てか今更だけどユウ君。
あんなに扉がドンドン言ってたのによく寝れるなあ。
余程疲れが出たんだろうね。
私は怪盗仕事やってるから慣れてるんだけど、次の日の授業は常に眠気と戦ってたなぁ…。
「…じゃ、とりあえず今日何処で寝ればいい?」
「オメー、本当に泊まる気か。
オレ様達の部屋以外、まだどの部屋も埃だらけなんだゾ。寝るなら自分で掃除しろ」
「げっ、掃除とか絶対やだ。
…A〜、部屋に泊めてよ。オレ、スマートだから幅取らないしさ、ねっ」
『むーり。俺とユウ君とグリムで一つのベッド使ってんだよ?いくらなんでも…』
「ゥえ!!?
おま…お前、ユウと一緒に寝てんの…?」
『うん』
「…同じベッドで?」
『うん』
「……マジ??」
『マジ』
「…………」
…え、マジで何なの?
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抹茶って美味しいよね(プロフ) - とても面白かったです!最新頑張ってください!!楽しみにしてます! (2020年6月24日 22時) (レス) id: 8bfe17f4aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年6月2日 2時