第玖話 満月の夜 ページ10
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その日、私は炭治郎と禰豆子とたくさん遊んだ。
外で雪合戦もしたし、鬼ごっこも隠れんぼもした。
家の中では炭十郎さんが物語を話してくれたり、葵枝さんが煎餅を焼いてくれた。
夕ご飯も作って一緒に食べて、炭治郎達とたくさん楽しく過ごした。
楽しかった。
それなのに
なんでこんなに胸が騒つくの…？
痛い訳ではない、苦しい訳でもない、辛い訳でもない。
ただ、ただ胸が…心が落ち着かなかった。
「Aー！外見て！」
「見て見てー！」
「外？」
一緒にお風呂に入った二人が私の手を引き、外へ連れ出そうとする。
炭十郎さんも葵枝さんもその理由を分かっているようで、柔らかく微笑んでいた。
不思議に思いながら二人について行くと……
「わあっ…！」
そこに広がっていたのは、綺麗に晴れた夜空。
満天の星が輝き、まん丸のお月様が辺りを照らす。
雪は止み、冷たい風が吹いていたが、私はその景色に見惚れた。
「すっごいでしょー？」
「うん、凄く綺麗！」
「あっ！わすれる所だった！」
「？」
はい！と二人から出された小さな紅色の風呂敷を受け取る。
「これは…？」
「へへ、おれと禰豆子からAに贈り物！誕生日おめでとうA！」
「おめでとー！」
「え…二人が私に…？」
「そーだよ！ほら早く開けて見て！」
二人に急かされながら、風呂敷を開けると中からは緑色と桃色の蜻蛉玉の簪だった。
驚いて二人を見る。
にこにこと嬉しそうに「驚いた？」と問い掛けるので、何度も頷くとわー！と喜んだ。
「で、でもこんな高そうなもの…！」
「Aちゃん、それはね。炭治郎と禰豆子が二人で一緒に選んだものなんだ。それに今日はめでたい日、是非受け取ってくれないかい？」
「でも…！」
「Aちゃん、そんな気を使わないで。これは今まで炭治郎と禰豆子と遊んでくれたお礼なんだから」
炭十郎さんと葵枝さんもそう言って笑った。
貰ったものを受け取らないのも失礼だと、おばあちゃんが言っていた。
私はその簪を有り難く、貰う事にした。
「炭治郎、禰豆子。本当にありがとう！大切にするね！」
そう言って二人を抱き締めた。
嗚呼、幸せだなぁ。
こんなに幸せでいいのかな。
でも、今日は、今日だけはこの幸せを大事にしないと。
縋る様に私は二人を抱き締めた。
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凛音 - 本当に面白いです！続きがめっちゃ気になります！頑張ってください！ (10月30日 17時) (
レス) @page23 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています。 (2022年2月22日 9時) (レス) @page23 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 14話の第三の選択っていうセリフ、どっかで聞いたことあると思ったらキノの旅だコレ (2020年7月6日 23時) (レス) id: e7530bdad7 (このIDを非表示/違反報告)
奏芽 - 切なくて涙が出てきましたw更新待ってます！！！ (2020年4月15日 6時) (レス) id: 6107720ed6 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 続き楽しみにしてます！更新頑張ってください (2019年12月18日 14時) (レス) id: 5e6c663fd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サヒア | 作成日時：2019年8月29日 0時
