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第肆話 神楽と耳飾り ページ5

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「はっ…はっ…!」

「いいぞ、A!そのまま振りかぶりながら一回転!呼吸を整えてヒノカミ様になりきれ!」

「っ、あ…!」





言われた通りに一回転しようとしたが、自分の足に引っかかり、ドテッとその場でこけてしまった。

もう一度立ち続けようとしたが、呼吸が苦しくなり、力が上手く入り難い。


肩で呼吸をしている私を見たお父さんは、「今日はここまでか…」と呟いた。





「今日はここまで。お疲れさん、A」

「うぅ…」





今私がしていたのは竈門家に伝わるされるヒノカミ様の舞い、ヒノカミ神楽の訓練だ。


二年前からこの訓練を続けているが、何度やっても呼吸が続かず、途中で終わってしまう。

雪の中でこれを行うと、肺が凍りそうになり、中々続かず、断念してしまうことばかりだ。





「これが出来るまでが凄え大変なんだよなぁ。出来るようになったら苦にならん。まあ…あれだ、慣れだな、慣れ」

「慣れ…」





私がこれに慣れるのはいつになるんだろう…。



ムムッと悔しくなって頬を膨らませていると、それを見たお父さんは笑った。





「ははっ、そんな顔すんなって!お前なら出来る、俺が保証する!」

「…うん、頑張る。頑張るからね!私!」

「おう!その意気だぜA!」

「わわっ!」





歯を見せてニッとお父さんは笑いながら、私を抱き上げた。

それと同時にお父さんの耳飾りがカランッと音を立てる。





「A。これにはな、息の仕方があんだよ。どんだけしても疲れねえ息の仕方がな」

「息…?」

「そうだ。正しい呼吸が出来るようなればAもずっと舞える。寒さなんか平気になる」





呼吸の仕方が違うだけで、ずっと舞えるの?

雪の中でもずっと?



私でもお父さんみたいに舞える?





「A」





またカランッと耳飾りが音を立てた。





「何があっても、この神楽と耳飾りだけは絶対に、途切れさせずに継承してってくれ。

______約束(・・)なんだよ」





その約束って誰としたの?



そう思ったが、私は口にしなかった。

ただ、私も神楽と耳飾りを継承する、という約束をしたことを、この約束を絶対に忘れないように心と頭に刻み込んだ。









そして、徐々にだが、確かにあの日(・・・)が近付いていた。







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第伍話 刀→←第参話 ヒノカミ様と刀の神様



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凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (10月30日 17時) (レス) @page23 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています。 (2022年2月22日 9時) (レス) @page23 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 14話の第三の選択っていうセリフ、どっかで聞いたことあると思ったらキノの旅だコレ (2020年7月6日 23時) (レス) id: e7530bdad7 (このIDを非表示/違反報告)
奏芽 - 切なくて涙が出てきましたw更新待ってます!!! (2020年4月15日 6時) (レス) id: 6107720ed6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続き楽しみにしてます!更新頑張ってください (2019年12月18日 14時) (レス) id: 5e6c663fd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:サヒア | 作成日時:2019年8月29日 0時

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