第拾肆話 神現る ページ15
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お父さんとお母さん、そしておばあちゃんを殺したのはこの怪物だ。
私も殺されるのだろうか。
こんな奴に…?
本当にそれでいいの…?
おばあちゃんが守ってくれた命を、こんな奴に奪われていいの?
おばあちゃんは私に『生きて』と言った。
なら、その最期の言葉を守らなきゃ。
生きなきゃ、いけないんだ…!
《…お前、刀を握った事はあるか?》
いつかの日に聞いた男の人の声が、私の側から聞こえた。
続けて男の人は私に話しかける。
「刀はない、けど…斧ならあるよ…」
《ならいい。ここに居れば、お前は確実に死ぬ》
「うん…。でもこんな奴に殺されたくなんか、ない。でも一人ぼっちになるなら、死ぬ事と同じ」
《…死にたいのか?》
「出来る事なら、死にたくなんかないよ。おばあちゃんが生きてって言ったから」
《では、第三の選択だ》
「なに、それ」
ゆっくりと、だけど確実に近付いて来る怪物から逃げる様に私は後退する。
すると、その時手に固い何かが当たる。
それは、おばあちゃんが桜の匂いを纏わせていたあの日に見せてくれた刀だった。
《まずは後ろにある刀に霊力を注ぎ込む。ただ念じればいい。そして俺の名前を呼べ》
「そうすると…どうなるの」
《一緒に逃げるぞ!》
「ッ!」
逃げる、その一言で私の体は突き動かされた。
霊力の注ぎ込み方なんて知らない。
この声の持ち主の名前なんて知らない。
だけど_______わかる。
ばっと後ろにある刀を両手で取り、言われた通りにただ念じ、そして聞こえた彼の名前を紡ぐ。
「“山姥切国広”」
そう発した瞬間、桜吹雪が舞起こった。
刀から桜が吹き荒れ、同時に目映い光が私の周りを包む。
そして溶けていたものが形作られ、私の背後から包み込む様にして現れたのは…
美しい金の髪。
吸い込まれる様な真っ直ぐな翠色の瞳を持つ、綺麗な人。
そんな彼を見た時、私は昔おばあちゃんに言われた言葉を思い出した。
『A、神様を見た事あるかい?』
『私はねぇ、見た事があるんだよ』
それはそれは美しい、桜を纏った刀の神様さ
おばあちゃん。
おばあちゃんの言ってた通り、本当に、神様…いたよ。
とっても綺麗で日の光みたいに優しくて…眩しくて…
「よく頑張ったな。あとは…俺に任せろ」
私を助けてくれた……刀の神様が。
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凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (10月30日 17時) (レス) @page23 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています。 (2022年2月22日 9時) (レス) @page23 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 14話の第三の選択っていうセリフ、どっかで聞いたことあると思ったらキノの旅だコレ (2020年7月6日 23時) (レス) id: e7530bdad7 (このIDを非表示/違反報告)
奏芽 - 切なくて涙が出てきましたw更新待ってます!!! (2020年4月15日 6時) (レス) id: 6107720ed6 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 続き楽しみにしてます!更新頑張ってください (2019年12月18日 14時) (レス) id: 5e6c663fd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サヒア | 作成日時:2019年8月29日 0時