第拾壱話 夢と声 ページ12
.
_______きろ
誰かが私を呼んでいる。
誰?
貴方は…誰なの?
_______起きろ
起きろ…?
嗚呼、もしかしてこれは夢の中なのかな。
と言うことは今私を呼んでいる人も夢の中の人。
…でも、何でそんなに真剣な声なの。
_______起きろ。後悔したくはないだろう
後悔…?
_______今すぐ家に戻れ
______でなければ、お前は後悔する事になる
貴方は…何を言ってるの。
明日の昼にお父さんが迎えに来てくれるの。
だからそれまでは炭治郎と禰豆子と遊んで待って……
もう二度と、逢えなくなるとしてもか
「そんな…の、いや…ッ!!」
ガバッと私は飛び起きた。
はあはあと息は荒く、額も背中も汗でびっしょりだだた。
二度と逢えなくなる…?
お父さんにも、お母さんにも…おばあちゃんにも…?
そんなの…!
「そんなのは、絶対…嫌だ…!」
ただの夢の中の人なのに、何故かこんなにもあの言葉が怖く、真実を言っていると感じてしまう。
あの人は、嘘など何一つ付いていないのだと。
私は、みんなを起こさないように着替えて布団を畳む。
そして何だかこれがみんなに逢えるのが最後なんじゃないかと、ふと思った。
傍らに眠る炭治郎と禰豆子の額をそっと撫でた。
「炭治郎、禰豆子…。私は何があっても二人の事、忘れないからね」
まるでそう自分自身に言い聞かせる様にして、私は静かに家を出た。
あの人は本当の事を言っている。
早く行かなきゃ、お父さんにもお母さんにも…おばあちゃんにも逢えなくなる。
そんなの嫌…。後悔だけはしたくない…!
はらはらと降り始めた寒い雪の中を、私はただひたすら走り続けた。
_______行け、炭吉の血を引く者よ
例えこの先、何が起ころうとも
歩み続けろ__________竈門A
.
499人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛音 - 本当に面白いです!続きがめっちゃ気になります!頑張ってください! (10月30日 17時) (レス) @page23 id: 0943923905 (このIDを非表示/違反報告)
シンヤ(プロフ) - 続きとても楽しみにしています。 (2022年2月22日 9時) (レス) @page23 id: 42d6be6a70 (このIDを非表示/違反報告)
カニカマ(プロフ) - 14話の第三の選択っていうセリフ、どっかで聞いたことあると思ったらキノの旅だコレ (2020年7月6日 23時) (レス) id: e7530bdad7 (このIDを非表示/違反報告)
奏芽 - 切なくて涙が出てきましたw更新待ってます!!! (2020年4月15日 6時) (レス) id: 6107720ed6 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - 続き楽しみにしてます!更新頑張ってください (2019年12月18日 14時) (レス) id: 5e6c663fd7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サヒア | 作成日時:2019年8月29日 0時