モンスターは雑食 ページ45
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「でもこれで退学させられずに済む。…本当によかった」
「皆が協力してくれたお陰だよ」
『協力って大事』
それに誰でも退学って嫌だよね。
だって将来どーなるかわかったもんじゃないし、潰れるし、自由に出来ないし、黒歴史になるし。
「はいはい、よかったよかったー。マジでクッタクタのボロッボロ。早く帰ろうぜ」
『ボロボロ…?』
「いっぱい魔法を使ったら腹が減ったんだゾ……ン?コレ、何だ?」
『?』
グリムは何かを見つけた様で、それを両手で拾い上げた。
気になった私達は覗き込む様にそれを見た。
それは少し大きめな黒い石で、何故か綺麗にカットされた宝石にも見えなくはなかった。
綺麗…とは言い難く、宝石にしては色が黒く濁っている。
怪盗をやっている私でもわからないものだった。
「さっきの怪物の残骸か?魔法石…?いや、でもこんな石炭の様に真っ黒な石は見た事がない」
「クンクン…。なんだかコレ、すげーいい匂いがするんだゾ…」
「『嘘だあ!?』」
え、石って匂いすんの?
え、わかんない。私人間だから。
え、グリムって確かモンスターだよね?モンスターにしかわからん匂いってこと?
「アイツが隠し持ってた飴ちゃんかもしれねーんだゾ!うう〜っ、我慢出来ない!いただきまーす!」
『おい食べんなよ!!』
「コラ!ペッしなさい!ペッ!」
「う"!!!」
「おい、大丈夫か!?」
苦しそうな声を出すグリム。
やっぱ不味かったんじゃないか?あれ。
見るからに食べ物には見えなかったし…。いやでも、グリムはモンスターだから味覚とか人間とは違ってるのかも。
「あーあ、そんなもん拾い食いするから〜」
「う…うううう……っっ、うんまぁああ〜〜い!!」
「「「『え"っ!?』」」」
「まったりとしていてそれでいてコクがあり、香ばしさと甘さが舌の上で花開く…。まるでお口の中が花畑だゾ!」
なんか食レポ始まった…。
「げーっ!やっぱモンスターってオレ達とは味覚が違うの?」
「…かもしれないな。と言うか、落ちている得体の知れないものを口に入れる事自体、ほとんどの人間はやらない」
『マジで大丈夫なの、これ…』
「へえ…モンスターって雑食なんだぁ、覚えた」
『ユウ君が変な知識を得てしまった…』
食べた本人は、美味しいものが食べれて大変満足そうだった。
気を取り直して、私達は学園へと戻る事にした。
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時