大釜連発過ぎワロタ ページ43
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やった!とユウ君と思わずハイタッチしていると、グリムが私達の名前を呼んで「見てみろ!」と少しはしゃいでいた。
「バケモノがさっきのエースみたいに大釜に押し潰されて、ペッタンコになってるんだゾ!」
「さっきのオレみたいってのは余計だっつの!ったく、今日はマジいいとこナシじゃん…」
『えー?俺は風魔法を出した時、かっこよかったと思うけどなあ』
「えっ!そう?やっぱそう思う!?いやぁ、オレってばやれば出来んだよね〜」
これくらい煽てておけばいいだろう。
半分本音だが。
そして私達は怪物が足止めを受けている内に魔法石を取りに、洞窟に入った。
怪物が待てとか言ってるけど、誰が待つもんですか。
さーて、さっさとお目当ての魔法石ってのを回収して、学園に戻りましょか。
そして洞窟の奥で、様々な色で輝いている石を見つけた。
二人の反応を見る限り、これが魔法石なのだろう。
と、喜んでいるのも束の間。
怪物が大釜を退けて、こちらに来ようとして動き出していた。
流石に私達も焦る。
「オイ、デュース!もっと何か乗せるんだゾ!」
「えぇっと、重たいもの!?
…い、出でよ大釜!あっ後はえーとえーっと、ッ大釜!?それから、大釜ァアああーッ!!」
《ヌグゥアアッッ!!》
『うわー…怪物の上に次から次へと大釜が積まれて行く…』
逆にもうあんだけ積まれた怪物が可哀想に見えて来るわ…。
一つであの怪物が伸びる程なのに、それを何個も…無理、絶対重過ぎて死ぬ奴やん。
「お前、大釜以外に召喚レパートリーない訳!?」
「うるせえな!テンパッてんだよ俺だって!」
「皆!魔法石取ったよ!」
「よし、魔法石はゲットした!ずらかるんだゾ!」
「『了解っ!』」
そのグリムの声掛けと同時に、外に出るべく私達は一斉に駆け出した。
大量の大釜に潰された怪物の横を通りながら。
守っていた魔法石を取られて、大層ご立腹の様子だったが、足を止める訳にはいかない。
念の為に私は残り一つの煙玉を使い、煙幕を作り出した。
のだが
『…うそーん』
「ん?どうし…って、嘘だろ!?あんだけの重しを全部押し除けて追っ掛けて来た!?」
エースの言葉通り、怪物はあれだけの大釜を全て押し除けて私達を追って来てしまった。
作った煙幕も腕を一振りで掻き消されてしまう。
しかもあの胴体で足が速いと来た。
「くそ、このままじゃ追い付かれる…っ!」
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時