ユウ君激おこです ページ39
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…っておい、ヤメロ。何だその手の動き。ワキワキさせんな、ちょっとキモいぞエース少年。
私が先程まで掴んでいた手を…こう、ワキワキと動かせながら思い出したように先程の怪物について話し出した。
「そうだよ、何だったんだよさっきの!あんなの居るなんて聞いてねーって!」
「ただのゴーストではなさそうだったな…」
「もう諦めて帰ろーよ。あんなんと戦うくらいなら退学でいいじゃん、もう」
『諦めんの早えなオイ』
呆れながらそう言うと、それを聞いたスペード君が酷く驚いた顔をした。
「なっ!?ざっけんな!退学になるくらいだったら死んだ方がマシだ!魔法石が目の前あるのに、諦めて帰れるかよ!」
「はっ、オレより魔法ヘタクソな癖に何言ってんだか。行くなら勝手に一人で行けよ。オレはやーめた」
…おっとぉ?またこの感じは喧嘩勃発ですか?
そうなんですか?
てかスペード君、言葉遣いが段々と荒くなってません?キャラ変わってません?
なんかヤンキーみたいな…。
「あぁ、そうかよ!なら腰抜け野郎はそこでガタガタ震えてろ!」
「はぁあ〜〜??腰抜け?誰に向かって言ってんの?」
うっわぁ…なんだこいつら。
ちょっと偉ぶってる小学生同士の喧嘩を見てるみたい…。恥ずかしくないの?
…あれ?
そう言えば、ユウ君さっきから全然話に入って来ないけど、一体どうし…………ゆ、ユウ…くん??
不思議に思ってユウ君の方を見ると、両拳を握り締めながら背後に何だかとても恐ろしく禍々しいオーラを纏わせていた。
明らかにあれは怒ってる。
流石にわかる。
しかし、何故あそこまで怒っているのかがわからず、どう声を掛けようか迷っていると、「ねえ」とユウ君から二人の方に話し掛ける。
「何だよ魔法使えない奴は黙ってろよ」
「黙るのはお前らだよ」
「「え」」
「ふな"!?」
『ゆ、ユウ君…?』
イライラしてるエースがそうユウ君に吐き出すと、いつもニコニコしていたユウ君がド低音の声でそう呟いた。
大人しかったユウ君の変わり様に二人は固まり、グリムはユウ君から離れて私に飛び付く。
「魔法使えないとか、Aに助けて貰っといてそんな事よく言えるね?あと、何で先の事考えて行動しないの?せっかくAが逃げる為に煙幕作ってくれたのに台無しにしてさあ…二人共、喧嘩なんかする前にAに言う事あんじゃない?」
ユウ君…。
目に光がないんですケド。
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時