無鉄砲にも程がある ページ37
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《イジハ……オデノモノダァアアアアアオオオ！！》
『で…』
「「「「『出たああああああ！！！』」」」」
突如すぐ目の前に現れた謎の声の主であろう、化け物。
ユラユラと体を動かせながら確実にこちらに歩み寄って来た。頭の部分は謎に黒い液が入ったビンの様になっていた。
ホラー過ぎる。
こんなのを見たらもう、逃げるしかない。
見ただけでわかる。
『アレはマジでヤバいって！！』
「ぶなああああ！！あんなの居るなんて聞いてねーんだゾ！！早よ逃げろ！！」
『だぁあ！耳元で叫ぶな！！』
「めっちゃエグい！でもアイツ石がどうとか言ってなかった！？」
「い、言ってた！！」
《イジ…イシ、ハ……ワダサヌ…！！》
私の肩に乗って早く走れと急かして来るグリムに、怒鳴りながら走る。
もちろん顔がない怪物も追いかけて来た。
そしてそんな怪物が発した言葉で、ここに魔法石があることがわかった。
だが、だからと言って足は止められない。
とりあえず一旦ここから離れて、何か対策を…！
「むむむむむりむり！いくらオレ様が天才でもあんなのに勝てっこねぇんだゾ！！」
「だが魔法石を持ち帰らなければ退学…」
『待て待てスペード君、まさか』
「僕は行く！」
「冗談でしょ！？」
「一人じゃ無理だ！」
「俺は絶対に…退学させられる訳には行かないんだ！！」
スペード君が立ち止まったことで、自然に一緒に走っていた私達の足も止まる。
確かに魔法石がなければ退学だ。
だが、だからと言って何の考えもなしに立ち向かうのは死にに行く様なものだ。
そんな私達の声も無視して、スペード君はあの怪物に向かって行った。
だが、怪物は待ってましたと言わんばかりに大きな手をスペード君に向かって振り下ろす。
足が竦んでしまったのだろう、スペード君はびくりと肩を揺らしてその場から動けなくなってしまった。
チッ！と私は舌打ちをした後、肩に乗っているグリムをユウ君に投げた。
「ふな！？」
『ユウ君！グリムをお願い！』
「A！？」
あっんの馬鹿！！
無鉄砲にも程があんだろーが！！
絶対謝らせる！と思いながら私は駆け出す。
腕が振り下ろされる寸前に、私はスペード君の前に駆け寄る事が出来た。
《カエレ…カエレ……カエレェエエエエ！！》
『せい！！』
私は持っていた煙玉を地面に投げつけ、煙幕を起こさせた。そしてスペード君の手を引いて走る。
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作者名：サヒア | 作成日時：2020年5月7日 2時
