棺とカラス ページ4
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「それに、まだ手懐けられていない使い魔の同伴は校則違反ですよ」
「『つ、使い魔…？』」
「離せ〜！オレ様はこんなヤツらの使い魔じゃねえんだゾ！」
「はいはい、反抗的な使い魔はみんなそう言うんです。少し静かにしていましょうね」
まるで話について行けません…。
使い魔ってなんだよ、何処の魔法使いだよ。ファンタジーにも程があるよ。
ほら見てよ、少年も私と同じくらい驚きで目をパチクリさせてるよ。
男性はグリムの口を塞ぐと、やれやれ…と言った感じで再び話を始めた。
「全く、勝手に扉を開けて出て来てしまった新入生など前代未聞です！はあ…どれだけせっかちさんなんですか」
『え、いやちが…』
「さあさあ、とっくに入学式は始まっていますよ。鏡の間へ行きましょう」
…この人、全く人の話を聞こうとしないな。
「……新入生？」
「貴方方が目覚めたたくさんの扉が並んでいた部屋ですよ。この学園へ入学する生徒は、全てあの扉をくぐってこの学園へやって来るのです」
学園…ってことは、ここは何処かの学校なのか。
この人が言うゲートってのはあの棺の事を指してるのかな。
にしても現実では起きない事ばかりを目の当たりにしてしまった…。
ここ、マジで何処なんだ？
「通常、特殊な鍵で扉を開くまで生徒は目覚めないはずなんですが…」
「あの大量の棺は、扉だったんだね」
『そうみたい…』
「それまでの世界に別れを告げ、新しく生まれ変わる…あの扉の意匠にはそんな思いが込められているのです……おっと！長話をしている場合ではありませんでした」
入学式が終わってしまうので、早く行こうと私達の背を押して鏡の間へ連れて行こうとするこの…カラス。
いやいやいや！？待て待て待て！
入学式？私この学園に入学する気なんかサラサラないんですが！？
そんな思いが伝わったのか、少年がカラスに「あの…」と口を開いた。
「その前に、ここは一体何処ですか？」
「おや？君達、まだ意識がはっきりしてないんですか？空間転移魔法の影響で記憶が混乱してるんですかねぇ…」
くうかんてんいまほう？
意味不明。
いや意識はしっかりしてるとも、ええ。でもここが何処であんたが誰なのかはちっともわかりません！
「まあいいでしょう。よくある事です」
よくねーんだわッッ！！！
「では歩きながら説明して差し上げます。私、優しいので！」
何処がッ！！？
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作者名：サヒア | 作成日時：2020年5月7日 2時
