七つの人物石像 ページ26
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グリム、ユウ君、私の順に自己紹介をした。
そしてエースは私とユウ君の名前を聞いて「珍しい響き」と言った。
それはそうだ。
世界が違うのだから。
そしてエースは続けて他の石像の人物の説明も次々としてくれた。
目に傷のあるライオン、サバンナを支配した百獣の王。
生まれながらの王ではなく、綿密に練った策で玉座を手に入れた努力家。王になった後、嫌われ者のハイエナも差別せず一緒に暮らそうと提案したらしい。
蛸の人魚、深海の洞窟に住む海の魔女。
不幸せな人魚達を助ける事を生きがいにしていた。お代さえ払えば変身願望から恋のお悩みまで、何でも解説してくれたらしい。
帽子を被った男性、砂漠の国の大賢者。
間抜けな王に仕えていた大臣で、王子と身分を偽って王女を誑かそうとしていたペテン師の正体を見破った切れ者。
とても美しい女性、世界一美しいと言われた女王。
毎日魔法の鏡で世界の美人ランキングを見、そして自分の順位が落ちそうになった時どんな努力も惜しまずに行った。毒薬作りの名手でもあったらしい。
炎を纏う男性、死者の国の王。
魑魅魍魎が蠢く国を一人で治めていた超実力者。押し付けられた嫌な仕事も休まずこなす誠実さを持ち、ケルベロスやヒドラなど彼に従って戦ったと言う。
角を生やした女性、魔の山に住む茨の魔女。
高貴で優雅、そして魔法と呪いの腕はこの七人の中でも一番。雷雲を操って起こしたり、国中を茨で覆い尽くしたり、更にはドラゴンに変身出来たらしい。
と、長々と説明してくれたエース。
有り難いと思いながらも、何故こんなに親切に説明してくれたのか未だに疑問だ。
同時に彼は何処か演技をしている様に思える。
そう思った直後。
「クールだよなぁ〜…____どっかの狸と違って」
「ふな"っ!?」
「え!?」
いかにも悪巧みしてました、と言う様な笑みを溢した後に「もう無理!」と言って大きな声で笑い始めた。
突然の変わり様にグリムとユウ君は、目をパチクリ。
対する私はただ溜め息を吐いた。
やっぱりおかしいなと思ったんだよ。
初対面なのに、ご丁寧に人物石像全員の説明してくれるなんてさ。
彼曰く私らを昨日の入学式で見て覚えていたらしい。
「闇の鏡に呼ばれたのに魔法が使えない奴らと、お呼びじゃないのに乱入して来たモンスター。で、結局入学出来ずに三人して雑用係になった訳?
はは、だっせー」
…あ"?
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時