本日のお仕事 ページ24
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えー、そこまで別人に見えんの?
ちょっと髪型を変えただけなんですけど?
それを見ていたユウ君が学園長に私だと伝えると、「え!Aさん!?」と驚いた。
まではよかった。
「Aさん…貴方、実は本当に男性なのでは…?」
『おーけー、よぉくわかった。そして今決めました。学園長の金を全部使い切る事を』
「わわわわかりました!!私が悪かったですすみません!!ですが言い方を変えますと、この男子校で通えるくらいには充分な変装だと褒めたんです!!これなら女性だと気付く方もきっと居ませんよ!あーよかったですねえええ!!さっさて、そんな訳で本日のお仕事についてのお話があります!!」
『話題変えるの下手か』
もうそれは膨大な量の金を使わせて頂こう。
何せ学園長なのだから、結構な収入だろう。ちょっとやそっとじゃ、痛くない。
女の恨みは怖いって事を教えてやろうと決意した。
そして私達はオンボロ寮の談話室へと移動し、学園長の言う“本日のお仕事”についての話を聞く事に。
「今日のお仕事は学園内の清掃です、…と言っても学園内は広い。魔法無しで全てを掃除し終える事は無理でしょう。ですので、本日は正門から図書館までのメインストリートの清掃をお願いします」
…それって、かなり…いや、めちゃくちゃ広いのでは?
あまり大差ないのでは?
ほら見てよ。グリムが既に嫌そうな顔をしてるよ。
たった三人で、しかも手作業でその広さを今日中に?
…一日で終わるかな。
「いいですか?ユウくん、Aくん。昨日の様な騒ぎを起こさないよう、グリム君をしっかり見張っていて下さいね」
「わかりました」
『起こしたら私が直々に罰を与えてやるつもりなんで、そこは心配無用です』
「そ、それならきっと大丈夫そうですね…。頼みましたよ。昼食は学食で摂る事を許可します。では、しっかり業務に励むように」
それでは、と学園長は背を向けてオンボロ寮から出て行った。
掃除くらいいいけど、問題はコイツだよ。
学園長が話をしてる時、ずーっと目が半目だったし、絶対やる気ないし、掃除してる途中でサボるのが目に見えるわ。
ちぇっ…、とグリムは舌打ちをし、グチグチと掃除はやりたくないと口にしていた。
どうやらグリムは掃除なんかよりも、授業で自分の魔法を繰り広げたいようだ。
あんたが昨日騒動を起こさなかったら、有り得ない話じゃなかったかもね。
…言わないけど。
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時