どうせなら完璧な男装を ページ22
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日の光が差し込み、私は同時に目を覚ました。
夕食は学園長が持って来てくれたからいいものの、流石はオンボロ寮。
トイレもお風呂もボロボロで、ベッドだってこの一つしかなかった(もう一つあったが底が抜けた)。結局日が変わるまで掃除をして寝不足気味。
そうなんです、ベッド…一つしかなかったんです。
もう皆さんお気付きでしょう?
ご覧の通り、私の隣にはユウ君が眠っている。
そして私達の布団の上にグリムが大口開けて、同じ様に寝ていた。
最初はユウ君が私が女の子だから、と気を使ってくれたのだが、私がそれだと私が申し訳ない、となって結果グリムが「じゃあ一緒に寝たらいいんだゾ」の一言で一緒のベッドで寝る事になったのだ。
学園長の金で、家具一式買ったろ。
さてと、目が覚めたことだし、準備しますかね。
___________男装の。
私は側に畳んで置いていた制服を持って、二人を起こさぬ様に空いている他の部屋へと移動した。
…てか、これサイズ合ってるのかな。
いや、逆にこれで合ってたら学園長が変態なことが発覚してしまう。それは知りたくないし、やだわ。
セクハラで訴えはするけども。
はぁああ…、と私は大きな溜め息を吐きながら、男子校の制服に着替えるのでした。
そして、それから数十分後。
無事になんとか制服を着ることが出来たが、やはりサイズが少し大きい。
男子にしては小さめの様だが、私は歴とした女子なので、裾の長さや肩幅などに差が出てしまう。
髪はボブヘアなので、それを男子に見える様にちょちょいと工夫して、他人からは短く見える様に編み込んだ。
はい、男の私が爆誕!
どうせなら完璧にしないとね!
でもやっぱ大きいな、この制服…。何だっけ、これって確か女子とかがよくやってる…ああ!そうそう、萌え袖とか言うやつじゃん!
それを自分がしてるのか…。
似合わないわ。
あ、そろそろ二人を起こさないと。
私は部屋から出て、二人がまだ寝ているであろう寝室の扉を開けた。
『おーい、二人共ー。そろそろ起き……何この状況』
扉を開けた先には、昨日見たあのゴースト達に囲まれたまま眠り続けている二人の姿だった。
ゴースト達は未だに眠ってる二人にちょっかいをかけ、楽しんでいた。
ゴーストって朝にも出て来るんだ…。
…いや観察してる場合か!?
それよりもこの状況は一体どうしたもんか…。
でもそのまま起こしてくれたら有り難い。
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時