早過ぎる再会 ページ13
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そうして談話室に姿を現したのは、やはりあのグリム。
濡れた小さな体で、こちらの顔を見ながら笑った。
「ぎゃっはっは!コウモリが水鉄砲くらったみたいな間抜けな顔してるんだゾ!」
『いや逆に見たいわそんな顔。…じゃなくて!追い出されたんじゃなかったの?』
「ふっふーん、オレ様の手に掛かればもう一度学校に忍び込むことくらいチョロいチョロい!」
あ、今の台詞、快斗も私も似た様な事言った記憶あるわ。怪盗仕事の時だけど。
さてと、うーん…どうすれば正解なんだか。
「…ねえ、どうしてそんなにこの学校に入りたいの?」
「単純な話なんだゾ!オレ様が…」
「オレ様が?」
「大魔法士になるべくして生を受けた天才だからなんだゾ!」
…それはわからんが、つまり魔法士になりたいから学校へ入りたいってことでしょ?
でも、自分は人じゃない上に魔物で、入学の馬車がなかった。なら、乗り込んで誰かに成り代わって入学したらいい、と考えた訳か。
どうやら私の考えはドンピシャだったらしい。
馬車をずっと来るのを待ってたのに…、と。この反応からして当たりだろう。
「ふ、ふん!闇の鏡も見る目がねーんだゾ」
『ツンデレか』
「オレ様を入学させないなんてこの世界の損失だってのに、ニンゲンどもはわかってねーんだゾ!」
…この子、何様なんだよ。
とは、口には出さずにそっと心の中で呟く事にした。
そんな時、天井から雨漏りし出した。
その水が丁度グリムの頭にヒット。そしてまたまたクリーンヒット。
「オレ様のチャームポイントの耳の炎が消えちまう〜!」
「何箇所雨漏りしてるんだろう」
『オンボロだからね、ここ。とりあえずバケツ持って来よ』
「?バケツなんかなくても、魔法でパパーッと直しちまえばいいんだゾ。…って、オマエら魔法使えねえのか。ププーッ!使えねえヤツだゾ!」
あー…もう頭来た!
今日から私らの家なんだぞ?
そこに勝手に蛇足で来たのはグリムなんだからね?
ユウ君がグリムに話し掛ける。
「じゃあ手伝ってよ」
「やーなこった!オレ様はちょっと雨宿りしてるだけの
『雨宿り代』
「へ?」
『だから雨宿り代。他人のあんたを雨宿りさせて上げるんだから』
「そ、そんなのな」
『じゃあ手伝ってくれるよね?』
「ヒッ」
最初から素直に聞いてればいいの!
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作者名:サヒア | 作成日時:2020年5月7日 2時