・ ページ12
.
落ち着け…落ち着くのよ奴良A…。
なにより、あの二人の恩人が私だったとは限らない。
私自身の勘違いかもしれない。
…でも、まあ…もしもがあるかもしれないしね。
もしも!だけど、一応聞いて置こうかな。
「あ、あの。その恩人さんとはどんな人だったんですか?」
そう聞くと、二人は少し考えながら辿々しく答えてくれた。
「どんな人、って言ってもなぁ…。君と同じ女の子で長い黒髪を横に靡かせてたな。…あれ、重力どうなってんだろ」
「顔立ちは日本人なのに、目の色が赤かったな。カラコンとか入れてたんだろ」
「あとは…服装が袴で何色か忘れたけど、上から羽織を着てたな」
「…桜の羽織だったろ」
「あ、そうそう桜!」
そんな二人の会話を聞きながら、私は冷や汗ダラダラもんだった。
わ…
私だわそれ。
いやいや、間違いないわ。
黒髪を横に靡かせて、赤目で桜の羽織でしょ?それ完璧私が妖怪に変化した姿ですや。
ハッとして自分の姿を見下ろす。
現在、紫の袴スカートに厚底ブーツ。
鞄の中にはお財布とハンカチ、護身用の短刀を所持している。
私普段着が袴だからなぁ。
これで勘付かれたりするのは嫌だな。
だってこの人達警察でしょ?
銃刀法違反とかで逮捕されても面倒だし。
それに人間の姿と妖怪の姿は、見た目も性格も色々変わるし、そう簡単にバレはしな……
「…なんか、あんたと似てね?」
くもなかった!!
松田さんはじーっと私の全身を隈なく観察?し始めた。
その視線に耐えられず、少し後退するとその分距離を縮めて来る松田さん。
その後ろで萩原さんは確かに…と一人考え込み出す。
「き、気の所為じゃありませんか、ね?」
「…にしては、雰囲気とか服装とか色々似てんだよ」
ち、近っ!?も、もう勘弁して…!!
その時
「「A姉!!」」
こ、このイケメンボイスは…!
呼ばれた先を見ると、厚と薬研がこちらに走って来ていた。
救世主だ…!と感動していると、機動力の高い二振は一瞬で私と松田さんの間に割り込んだ。
一瞬の事で松田さんと萩原さんは目を丸くしているのがわかる。
私は慣れているが。
「何もされてないか?大丈夫か?」
「ったく、何かあったらすぐ呼べって言っただろ」
「ご、ごめんね?」
二振は松田さんとの距離を開け、私に何もされてないかと心配してくれた。
心配してくれるのは嬉しいけど…
頬とか手とか髪とか取らないでいいから
王子様か!!
.
318人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
橋本アリィちゃん(プロフ) - とても面白かったです!続きを待ってます!(*´ω`*) (2021年9月25日 21時) (レス) @page15 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
はまぐり - 好み過ぎて語彙力どっかに飛んでいきました (2020年6月2日 22時) (レス) id: fe50b1b3b6 (このIDを非表示/違反報告)
いまづき(プロフ) - 早く続きが読みたいですね! 応援してます! (2019年5月26日 20時) (レス) id: 14b35c0538 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 主〜!灰原哀って子が志保ちゃんですぜ!てか、皆生きてる!ふー↑↑↑↑ (2019年4月14日 21時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
五月七日(プロフ) - 凄く面白いです!続きが気になります。応援してます!! (2019年2月25日 1時) (レス) id: 05191dc1a4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サヒア | 作成日時:2019年1月31日 15時