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白side
ワクワクを抑えながら、いつも通り患者の診察や治療を終え、つかの間の休憩に入る私たち。
休憩に入ったら、話題になるのはもちろんあの人のことで...
「そういえば白石、あんた藍沢から着いたってメール来た?」
「ううん、来てないけど。どうして?」
緋山先生はスマートフォンの画面を凝視しながら私に尋ねる。
質問を質問で返すと、緋山先生は「もうそろそろ着いてもいいくらいでしょ?さすがのあいつも、メールくらい送るかなあって藤川と賭けやってたのよ。」と笑う。
「俺が来ないに1票で、緋山が来るに1票だよな。ただまあ、もう緋山の負けは確定だな」
ハッハッハと大声で笑う藤川先生
大の大人が小さなことで賭けって...
思わず浮かんでしまう苦笑い。
「俺が買ったら、奢れよ緋山ぁ」
「なによ、その言い方。人に頼む態度じゃないじゃない!てか、まだ負けた訳じゃないから」
藤川先生の煽りにまんまと引っかかった緋山先生、2人はどんどん熱戦を繰り広げ始める。
ああ、来る...
これは来る...
ドカンと来る...
私は隣に座る人物を恐る恐る振り返る。
その人物の顬には青筋が1つ、2つ、3つ...
「藤川先生、緋山先生、いい加減にしてください。うるさすぎます、ここがどこだかわかっていらっしゃいますよね?」
あああ...来たぁああ...
バンと派手な音で、飲んでいた陶器のコップをテーブルに叩きつけ冴島さんのよく通る怒り声が響き渡った。
ほらぁ...言わんこっちゃない
「藤川先生、緋山先生を煽るのはやめてください。緋山先生はそれに乗っからない!そして、変なことに賭けをしないっ、分かりましたね?」
お得意の笑みを浮かべた冴島さん
医局内の温度を-3℃まで凍りつかせたみたいだ。
あぁ...寒い、ぶるぶる。
藤川先生と緋山先生はかちりと凍りついたかのように動かず、冴島さんの「分かりましたね」に被せるように返事をするだけ。
冴島さんは、ぽすっと起こしていた背中をソファの背もたれに預け大きくため息をつく。
雰囲気最悪、どうしよう。
そうは思うが、私にいい言葉は浮かんで来ず、足早に退散しようとドアに足を向けたその時だった。
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Noa(プロフ) - あかりんごさん» はじめまして。pixivでしたら同一人物です。見つけて下さりありがとうございました。 (2020年8月16日 16時) (レス) id: e4c16b987b (このIDを非表示/違反報告)
あかりんご - 私この小説見たことあります!!!確かpixivだったような…違ってたらごめんなさい (2020年8月16日 16時) (レス) id: 89de9314a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sakuraba_akebi | 作成日時:2020年6月30日 17時