51話 なんだかんだ言って ページ6
「...はぁっ、あ"ぁっ、はっ」
今まで集中していた分と大量に体力を消耗したツケが反動で一気に襲い掛かる
唾をのみ込むのも必死でなかなか呼吸が整わない、シャトルランを終えた時よりも激しい疲労だ
「立てるか」
芝生に寝っ転がっているうちにそう声をかけてくれる。なんだかんだ言って凛ちゃんは優しい
「ちょっと凛ちゃーん、さすがにさっきのは若瀬ちゃん酷使しすぎじゃなーい?」
廻は不機嫌そうに言いながらこちらへ向かってくる
「はいこれ、飲みな」
そう言って新しいスポドリとタオルを渡してくれる
大分呼吸が整い起き上がってスポドリを2口飲むともう半分なくなってしまった
「わー...こんな汗かいたの久しぶりだ。ありがと凛ちゃん、なんかワクワクした」
下に着てるスーツまでびちょびちょである。気持ち悪いから早くシャワー浴びたい
完全に呼吸も整いいざ立ち上がろうとすると立てない、足に全く力が入らないのだ
「あ...まって二人共...なんか立てない」
「うっそ!?」
「...は?」
二人共こちらに駆け寄る。いやぁ頼りねえ
「どうしよっか凛ちゃん」
「できれば職員専用のシャワールームまで運んでくれれば...いや壁伝いでも行けるかな」
「俺が運ぶ。俺がこうさせたからな」
そう言って凛ちゃんはそのまま体育座りの体制のうちをひょいと抱える
「は!?え!?凛ちゃん!!」
「わぁーお大胆!じゃあ俺は普通に部屋に戻ってよっかな!」
そう言われ廻は一人帰路を辿る。姫抱きのまま混乱しているとそのままスタスタと歩き始める
途中ですれ違う何人かにじろじろと視線を感じる。それでさらに恥ずかしくなって思わず首に顔をうずめてしまう
お互い汗でびちゃびちゃだからどっちの汗で濡れてるのかもうわからない
「そんなに人目が気になるかよ」
そう言われるがもう恥ずかしくて顔も見れない、早く着けばいいのに
「お前耳まで赤いぞ」
「も〜...わざわざ言わんで...」
そうしてシャワールームに着くと凛ちゃんはすぐに背を向けスタスタと歩き出す
「あ、えと、ありがと!」
その日の職員部屋
「え〜〜〜!Aちゃんそれ糸師さんからかなり好かれて」
「それ糸師さんAちゃんのこと好きなんじゃない!?」
「そう、ですかねぇ...凛ちゃんはなんだかんだ言って優しいですよ」
主にうち周りの恋バナ?で盛り上がるアンリさんと日向さん、四条さんは休みらしい
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作者名:さくらば | 作成日時:2023年1月3日 2時