50話 格上 ページ5
「どうした、攻めてこないのかよ」
さっきから凛ちゃんは煽ってばっかりだ、というかこの対面どうも勝てるとは思えない
でも勝ちたい、煽られたからには勝ちたい
自分のエゴに身を任せ突っ込んでいく。真正面から突っ込むので凛ちゃんは普通に左から取ろうとする、チっと凛ちゃんの足にボールが当たるのを確認しまだリーチが通る範囲内のうちにそのボールを蹴り返す。
上手くコントールできたおかげで凛ちゃんの裏へボールが飛び出す。すれ違うようにボールを奪うともうすぐ横には凛ちゃんがいる。しかし左からしか来ないと分かってるのでかかとでボールを蹴って浮かせそれを凪君のごとくトラップする
集中して意識が研ぎ澄まされるのが分かる。しかしそれに比例するように呼吸も乱れる
多分もう動きが鈍っているのだろう、トラップは完全に読まれて途中で阻止されてしまう
そのままこちら側のゴールを前にしボールを蹴り出される
美しい弧を描いたシュートは入る寸前だ
しかしギリギリで追いついて足でシュートを止める
その驚いた顔が今までに見たことなくて、疲れているけど笑ってしまう
「ナイスパス、凛ちゃん」
そのままドリブルで凛ちゃんの方へ向かう、しかしもう体力は底に近くて体はヘロヘロだ
「そんな状態じゃ話になんねぇよ、やめだ」
「待ってよ！まだ勝負はついてないじゃん」
大声を出したせいでゲホゲホと咳が出る。まだヒューヒューと鳴る呼吸にはなってないからセーフだ
「...じゃあ来いよ。すぐに終わらせてやる」
臨戦態勢に入る。こっちこそ早く終わりたい、早く呼吸を整えたい
ゴールまであと40mくらい。さすがにこんなとこは射程じゃない
となるとあと一回抜かなければいけない
もう一度真正面に突っ込む。そして間が2ｍくらいになった
かかとでなるべく高く遠くに浮かせそれを後ろを振り向かずにトラップする
ギャンブルだ、失敗したら終わり成功したらまだうちのターンは続く
「...だぁ！成功！」
トラップは成功しゴールまであと34m
前には誰もいない、これなら届く
足の力を最大限まで抜き必要な力だけを込める
ボールを蹴るとどうしても生まれる自分の癖を利用した左に曲がるシュート。いわゆるジャイロシュート、これが決まれば勝ち
しかし現実は残酷だ、世界最高峰のキーパーの情報をインプットしたブルーロックマンはいとも容易くそれを止める
ギリギリでこぼれ球を拾ったがすぐに凛ちゃんに奪いかえされる
そして私は負けた
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作者名：さくらば | 作成日時：2023年1月3日 2時
