43話 別れを告げる ページ47
やりすぎかもしれないけど、抱き着いてみる。まぁすでに一緒の布団だから意味はあんまないけど
「は、えちょっちょ!」
凛ちゃんも抱き着いてきた。しかも足も絡められてそっぽを向けない
「お前が先にしてきたのが悪りぃ」
冷ややかにそう言うが体温がより感じられて体が熱くなる。しかもずっとこっちを見てるから目が合うと顔も熱くなるのが分かる
でも下を向くと恥ずかしくなくなるからでっかい湯たんぽ抱いてる気持ちになってきてまたうとうとし始めてしまう
でも視線を感じるから寝ない、けれど睡魔には勝てなかった
そして完全に起きたころには部屋には人がいなかった。まずい寝坊した
遅めの朝ごはんを食べに食堂に向かう。もちろん誰もいなかった
そういえば今頃潔と凪君は成早君が勝負してるのかな
食器を片付け、いつものようにスポドリやタオルの入ったカゴを抱え走る
歩いていたら間に合わないから必然的にこうなった。ある意味トレーニングになってる
今日は凛ちゃんのおかげでいつもより体が軽い。そのおかげで腰の痛みもあまりなく素早く動けてる
次々とスポドリを渡して、現在試合終了後の部屋に入る
中には成早しかいなかった
「成早!なんで一人...てかなんで泣いてんの!」
「あぁ...若瀬...俺もうここで終わったんだ」
グラウンドの隅に移動して話を聞く。どうやら試合に負けて引き抜かれたのは馬狼の方だったみたいだ。つまりそれは成早の脱落を意味する
「そっか...じゃあ最後に会えてよかったな、成早と」
元チームZの数人は脱落している人もいるだろう。そんな中でこの棟を駆け巡っている私がお別れを告げられるのはせいぜい数人、いや運が悪ければ無理だったかもしれない
最後に会えたのが奇跡、ってレベルだ
「ギリギリまで思い出語ろうよ成早、悔いがないようにさ」
そして今までのことを振り返った。何分話し込んだだろうかそろそろ業務をこなさないといけなくなる。
「ごめんね成早、まだ話してたいけどもうギリギリなんだ」
「そっかぁ...」
成早は敗者の扉の方に顔を向ける
「出会えてよかったよ成早。君が居てくれたから今潔たちがいる。君の活躍は忘れないよ、データにも残ってるしね」
別れを告げる、ちょっと泣きそうだ
別れ際にハグをする。別にこれくらいなら友情の範囲内だよね
「じゃあね、成早。青い監獄を去っても君の活躍と幸せを願ってるよ」
「じゃあな...若瀬っ」
そう言って敗者の扉に向かって走りだした。もう彼の姿は見えない
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しは(プロフ) - めっちゃ面白いです! (2022年12月31日 1時) (レス) @page35 id: e927209d21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらば | 作成日時:2022年11月29日 23時