27話 嵐の前の静けさ ページ30
そっか、みんな明日のことを考えて眠れないんだ。
なのにうちは呑気だったな。
イガグリがつらつらと何かを話す。
「夢が終わるってこんなに怖いモンなんだなぁ」
「諦めるのはまだ早いよ、イガグリ」
とっさに反応してしまう
「そっか...お前はまだ次があるもんなぁ。」
うらやむようにこちらを覗いている。
「違うよ。考えてみなよ。明日はこの棟最強のチームVとの闘い。そんなやつらから自分がゴールを奪う姿を考えてみなよ。悔しそうな相手の顔とか、それまでの接戦とか。考えただけでゾクゾクする」
正直、今はサッカーがしたくてたまらない。さっきの二人の表情とゴールで頭がいっぱいになる
「たしかに、決め付けたって仕方ないよな。明日は絶対勝つぞ。俺たちはまだ終わらない」
.....
「絵心さんどうしたんですか?自分からわざわざ出向くなんて珍しいですね」
「あぁ、予定より器が完成してなかったからな。テコ入れだ。」
マネージャーである若瀬に本来、実際のプレーはない。
「それで、なんか収穫はあったんですか?」
「あぁ。器は完成したし思った以上の出来だった。それに、あいつの中のエゴが再度芽吹いた。」
エゴが再度芽吹いた。つまり、選手としての若瀬Aが戻ったという
ことだ。
今までの客観的な視点と選手としての二つの視点を手に入れることができた。
....
翌日になってもゴールの熱は冷めない。今チームVとの戦いなんてみたら、どうなってしまうのだろう
これがみんなにとっての最後の戦い。勝てますように。
みんな入念にストレッチをしている。いつもより顔つきも違う。もう集中し始めているのだろう。
嵐の前の静けさといったところだろう。波乱万丈の試合が待ってる気がしてワクワクする。
「ねえ潔、廻。この試合負けたらもう君たちのサッカー見れなくなるのかな。
そんなの嫌だよ、うち。まだ君たち見てワクワクしてたい。だからさ、この試合
絶対勝とうね」
「おう、勝つぞ」
「もちろん俺もそのつもり」
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しは(プロフ) - めっちゃ面白いです! (2022年12月31日 1時) (レス) @page35 id: e927209d21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくらば | 作成日時:2022年11月29日 23時