さくら古書店＆カフェ (ページ15)

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翔side

Aちゃんに新人の大倉くんを紹介した時

俺が聞いていない苗字を聞いていた

俺が聞かなかったのは、特に理由はないんだけど

Aちゃんも敢えて言いたくなかったんだと思う

苗字を言ってしまうと、何かを知られてしまうんじゃないかと…

何かの覚悟を決めたのか、Aちゃんは自分の苗字を佐橋と名乗った

・

佐橋…

俺が付き合っていた夕夏の苗字も佐橋だった

これは、偶然なのか？

夕夏とデートしていた際、よく妹の話をしていた

それがAちゃんだとしたら…

この店に来たのはお客としてではなく、俺の存在を知って来ていたことになる

・

・

Aちゃんとどうでもいい話をした後

Aちゃんは大倉くんに仕事を教えていた

Aちょんも最近入ったばかりだけど、先輩っぽくなったように見える

よしっ、今日も頑張るぞ

・

「お邪魔しまーす。ホットコーヒーとプリン下さい」

「出たな、欲張り二宮」

「変なあだ名つけないでくれます？」

「だって、欲張りじゃん！ま、今日はプリンだけだからよしとするか…」

「…ぇっとー、」

「ぁ、大倉くん。こいつ、常連の二宮和也。欲張りだから覚えておいて」

「新人？」

「ぁ、大倉忠義です。よろしくお願いします」