記憶の嘘5【サボ】 (ページ31)

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高鳴る胸とは反対に… ページ31

Aside

夢を見ていた。
サボが居なくなった、あの日。

苦しくて…目の前が真っ白になった。

もう、味わいたくない。
だから、研究した…魔法を。

でも、魔法の中でも禁術の一つだった。
…恐らく長くない命…。

“悔いのないよう生きよう”

エースが言った言葉は、今でも私の胸に刻まれている。

だから、今度こそ守るんだ…大切な兄弟を。

意識が戻ると目を開けた。

外は朝方。陽が昇り始めた。

横を見ると、椅子に腰掛けるエースと…。
驚いた事に、隣で寝ていたサボ。

疲れて眠った？
え？なんで？…いやいや、サボの寝顔久しぶりに見た気がした。

触れようと手を伸ばすと、サボに捕まれた。

『え？お、起きてたの？！』

「仮眠だよ。…もう起きて大丈夫か？」

『大丈夫…心配掛けてごめん…』

「ほんとだよ…すごく心配した…片手が無いんだからな。」

サボの瞳は失われた片腕に行っていた。
それは、悲しそうだった。

『…けど、守った証だから…エースとサボが再会出来てよかった…。』

「…A…その…。」

急に口ごもった。
首を傾げてると、覚悟した瞳をしたと思いきや私を捉えた。

「A…これから、話すのは…本気だし…その…昔から…だ。」

『…うん。』

「…俺…Aの事…」

『…うん』

「…Aの事を…す、」

私は、ワクワクと共にドキドキとしながら待った。

どう、返事をしよう…なんて事も考えている。

「す、…す、…！」

“ドン！”

「到着したぞ！ニコ・ロビンが！！…って、あれ？」

…もう一人の仲間、“ダーヴィル”がやって来た。

空気を読まず、真っ向勝負をするマッチョで低身長な男の子。

「…ニコ・ロビン？おい、サボ。どうゆうことだ？」

「ダーヴィル、てめぇ…！」

ダーヴィルを睨みながらサボはため息をついた。

「報告ご苦労。…表に出る。エース、頼んだ。」

「あ、あぁ…。」

「A…行ってくる。」

髪を掬うとキスを落として、その場を去った。
真っ赤だなんて…知らずにな。