黒の皇帝 (ページ10)

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九重疾風、と達筆ながらも読みやすい字でホワイトボードに書かれた名前。

書いてる横顔も腕の筋もかっこよくて、見つめすぎたら小突かれた。

浮所「まずはー、俺達？」

『大事なメンバーだな』

そのままキュッキュとペンを走らせて俺達の名前も書いてくれた疾風。

龍我「疾風の字めっちゃ好き！」

金指「あとで違うところにも書いて！」

『忘れなかったらな』

金指「忘れんな！」

クスクスと楽しそうに笑う疾風と、名前を書いてもらって上機嫌の面々。

勿論俺もめちゃくちゃ嬉しい。小躍りしたいくらい！

『俺らってさ、同年代だけど入所順でいったら俺結構先輩だから結成当初めちゃくちゃぎこちなかったよな』

龍我「俺と大昇と同い年！」

岩﨑「同期ってなると？」

『それはまあこの後な』

圧倒的先輩かつ、俺達がテレビで見ていた人だったからどう接すればいいかわからなかった。

俺に至っては大ファンだから上がっちゃって、空回りして怒られたことも。

『今だから言うけど、俺HiHiに入る予定だったんだよ』

「「え？！！」」

俺以外の5人が驚いて目をまん丸にさせていた。

かくいう俺もこれを聞いた時は開いた口が塞がらなかったもん。

那須「え、なに？浮所は知ってたの？」

浮所「疾風ん家泊まった時に聞いた！」

龍我「ずるい！俺も疾風ん家泊まる！！」

金指「俺も泊まる！」

藤井「泊まる話はあとにしようね〜」

岩﨑「HiHiに入りたかった…？」

蚊の鳴くような声を絞り出した大昇の言葉に騒がしかった俺達はシンと静まり返った。

『まさか。俺はお前達とだからこうやってジャニーズで居られんの。お前達とじゃなきゃ意味無いんだよ、わかる？』

一人一人に向けられる目線が優しくて、感動企画じゃないのに涙が出そうになる。

それは俺以外の5人も同じみたいで、目の水分量が多くなっていた。

『まあでも、SixTONESに入るか聞かれてたら入ってたかもな』

ニヤリ。

悪戯っ子のように口角を上げる疾風にみんなが夢中になるのは無理もないね。