黒の皇帝 (ページ21)

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現場の赤ちゃんページ21

───北村匠海side

磯村勇斗「疾風くん、これ食べた？」

『んーん』

磯村勇斗「はい、あーん♡」

『あー』

今はもう誰も気にしなくなったいっそんの疾風くんへの甘やかし。

端にパイプ椅子を並べてぎゅっとくっつく姿はカップルのように見えたり、兄弟に見えたり、親子だったり。

磯村勇斗「それってなに描いてるの？」

疾風くんの口元にパンをちぎって運ぶいっそんが黙々となにかをスケッチしている疾風くんに聞いていた。

北村匠海「俺も気になってた。昨日も唸りながら描いてたよね？」

磯村勇斗「匠海あんまり疾風くんに近づかないで」

北村匠海「今日も変だね」

『変だよね』

磯村勇斗「あ、オレンジジュース飲む？」

『ん』

デレデレないっそんから差し出されるストローで喉を潤す疾風くん。

ほんとこの子は何やっても絵になるなあ…。

『衣装案考えてんの。まあパッと思いついたものを描きなぐってるだけだけど』

磯村勇斗「うわすっご…」

パラパラと見せてくれるデザイン画。

画だけじゃなくて細かく何かが書き込まれていて疾風くんの気持ちが伝わってくるようだった。

北村匠海「これ見せてくれて大丈夫なの？」

『ここから加筆するから大丈夫。ほぼ原型無くなるからいいんだよ』

磯村勇斗「ほんと天才」

『うわっ、苦しいんだけど！』

感無量といった具合にいっそんが疾風くんに抱きついた。

やだやだ言いつつも嬉しそうにしてて、やっと年相応な可愛らしさを見せてくれる。

吉沢亮「疾風ちゃーん！」

磯村勇斗「うわ、来んな！！」

いい笑顔で走ってきたおりょうがいっそんごと疾風くんに抱きついた。

『重い。苦しい。邪魔』

吉沢亮「今日も可愛い！優勝！」

磯村勇斗「あ"ー！！やめてくださーい！！！」

おもしろいから彼らのファンの方々にお裾分けしようかな、とこっそりと写真を撮った。