黒の皇帝 (ページ14)

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───猪狩side

『猪狩、匿って』

ライブ直前に聞く言葉じゃないそれを聞いたのは40分前。

前仕事を終わらせてから遅れて入った陛下は常に側に人がいた。

好かれているからこそ、周りには人がいる。

嬉しい半面、休まる時が無くてしんどそうにしていた。

作間「もうそろ集まれってさ」

橋本「起こすか」

すやすやと寄り添って寝ている美少年の皇帝とHiHi Jetsの帝王。

ここみずの寝顔オフショは激アツだから自分の保存用にパシャリ。

猪狩「陛下、瑞稀くん、そろそろ起きて」

ようやく休めたところで起こすのは可哀想だけど、これからライブだからそうも言ってられなくて。

橋本「おはよ、疾風」

『んー…はよ、涼』

寝起きのぽやぽや陛下をよしよしとあやすはしもっちゃんは手馴れている。

同期として挙げられるのは大橋くん、誠也くん、リチャードくんだけど彼らは関西で。

実質同期というのであれば同じ年に入所したはしみずれあなんだろう。

昔はやんちゃだったけどみずれあよりも陛下のお兄ちゃんをしてるのははしもっちゃんが多い。

瑞稀くんと陛下はほぼ双子みたいなものだし、嶺亜くんに至っては陛下を弟として可愛がっているというよりもほぼ恋愛対象だろうし。笑

敬愛、友愛、それ以上の感情があるかは本人達しか知らないが、あってもなんら不思議じゃないよね。

『瑞稀寝癖ついてる』

井上「んー…。疾風、ちょっとケータリング行こ。腹減った」

『いいよお』

橋本「ガリさん、さくちゃん、護衛してあげて」

最終確認のヘアセットを始めたはしもっちゃんと鏡越しに目が合った。

『涼は一緒に行かないの？』

橋本「あは。なあに、涼ちゃん行かないの寂しい？」

『寂しい』

来た。

寝起きかつHiHiしかいないところでしか見られないSSR陛下。

たぶんSixTONESさんとかだと見慣れてるけど俺らはほとんどが後輩だから、こうやって弟気質な疾風を見られる瞬間は無いに等しい。

作間「かっわい…」

猪狩「最高ですわ」

井上「でかい犬みたいだな」

橋本「少し直してから行くから3人と先に行ってて？」

行くよ、と瑞稀くんに手を引かれて出ていく陛下の顔は少ししょんぼりしていた。

橋本「なんだか優越感に浸れるよね」

上機嫌なはしもっちゃんにやや恐怖を抱いたのは内緒だ。