Wake up (ページ4)

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　「ぎゃっ！…慎ちゃん！」

　俺が投げた雪がきれいにAの腕に当たる。その拍子に丸めていた雪玉を落としてしまいギャーギャーと怒る。油断してる方が悪いと思う。

森「やられたらやり返す、だろ？」
　「あたりまえ！」

　俺がやられたからやり返した、はずなのに。俺にやられたからってやり返すように、もう形も丸さも気にしないで集めた雪をギュッとまとめて投げてくる。それにまた返す俺。高校生にもなって、息切れするほどの雪合戦の始まり。

　しばらく戦えばいつかと同じようにびしょびしょの二人の完成。コートと、コートに隠れていない部分がびしょびしょ。冬なのに、何の意地か短いスカートに生足のAの足は真っ赤。服はびしょびしょで、肌は真っ赤なA。

　「スカートも靴も靴下も…。最悪。」
森「始めたのそっちだからな」
　「は！？私からじゃないもん！」
森「お前がまん丸くしたのぶつけてきたのが始まりだから！！」

　ぶつぶつと文句を言いながら歩く。小学校の時よりも帰る時間が遅いから余計に寒い。

　「あんたたち、高校生にもなってなにやってんの！」

　その日も返る先はAの家。Aのお母さんよりも帰りの早かった俺たちは、小学生の時のこっぴどく怒られた時のことを思い出し、こっそりと濡れたものを干して乾かし、こたつで体をあっためて証拠を隠滅しようとした。でもそれは間に合わず、帰ってきたAのお母さんにまたこっぴどく怒られた。

　怒られたことだけでなく、次の日しっかり熱を出すところまで小学生の時から変わっていなかった。

　それがすげー面白かった。怒られたことも、寒かったことも、熱で苦しかったことも全部まとめて“楽しかった”というものになって残ってる。

　でも、あの日以来、雪は大嫌いだ。