Wake up (ページ18)

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　部活が終わって、先輩のことも気にせずに教室に逃げ込む姿が容易に想像できて笑ってしまう。それを見てまた怒るA。そういうのが子どもっぽいんだよな。さすがに俺は中には入れないから教卓の横に座って、中の方に向けて手を伸ばす。するとそれを握るA。

　これも変わらない。雷が苦手で蹲るAの手を握る。小さい頃からしてきたこれがAにとっては落ち着くようで、今でも続いている。

　雷に合わせ握る力が強まる。と言っても弱っている女の子の力なんて痛くもなんともない。そのまま雷が落ち着くまでゆっくりと時間を過ごした。

　雷が遠くに行き、音が小さくなった頃、教卓からのそのそと出てきたA。目元は少しうるんでいる。…ちょっと泣いたのか。

森「大丈夫なの？」
　「さすがに、帰んなきゃ」
森「ならさ、荷物とりいこ」

　手は離さずに校舎を歩く。部活終了からだいぶ経ったからあまり人はいない。…が、こういう時は変な人に会ってしまうもの。

樹「…そういうこと？」
森「違うっす。ほら、」

　繋いだ手を確認して、勘違いで言ったであろう言葉を悔しいがAのために否定する。そして空を指せば納得したように頷く。

　「さっきは、ありがとうございました」
樹「いーえ。じゃ、気を付けて」

　去っていく樹先輩を見送った後、繋いだ手を見てボソッとAが呟く。

　「やっぱ慎ちゃんが一番落ち着く」

　その言葉だけで、さっき、樹先輩とAに何があったのかとモヤモヤしてた気持ちが一気に優越感のようなものに変わった。自分でも思うがあれはチョロかったな。

　雷が鳴ると、今でもAのことが心配になる。それと同時に期待をしてしまう。

　雷の音で目を覚ますんじゃないかって。いつかのように、電話が鳴るんじゃないかって。