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高「…お姉さん、だいぶ酔ってるじゃん」
 「…お姉さんって、急にどういう呼び方?」
高「若干の呆れを込めました。まだ帰んないの?」



 テーブルに肘をついて顔を支えながらゆるゆると飲み続け、もういい時間だなー、と思っていれば隣に座ってくる人。誰かと思えば優吾くんだし「お姉さん」なんて言うし。酔った頭じゃよくわかってなくても自然と口角を上げてしまう。なんか呆れられてるみたいだけど。



高「まだ帰んないのってば」
 「ん−…もうそろそろだなーと思ってた。けど、なんか帰んのも嫌」
高「…Aってめんどくさいタイプの酔っぱらいになる人?」
 「めんどくさいとか言わないでよ。ほら、あれよ。精神状態にもよるじゃん?酔い方って」
高「まぁ、そうだけど…。めんどくさくなる精神状態なのね?」
 「そうそう。大我とも気まずいしー」
高「あー、そうだって言ってたねぇ」



 普段の柔らかい感じの喋り方をもっと柔らかくして、酔っぱらい対応バージョン、みたいな。そんな感じで話してくれる。でもさ、優吾くんにはめんどくさいタイプとか思われたくなかったな。



高「そんな帰りたくないAさんに提案なんですけど」
 「ん?提案?」
高「そ。提案」
 「?」
高「一緒に帰りません?送りますよ?」
 「…一緒に?」
高「そう。一緒に」



 思わぬ提案に瞬きをしながら優吾くんを見てしまう。思わぬ過ぎて言葉も出ない。



高「このまま一人で帰すのも、二軒目向かわせるのも心配なのよ。そう思うくらいA酔ってるからね?」
 「…よってないし」
高「酔ってるの。その手、外してみなよ」



 言われて顔を支えていた手を外す。…ふわっとする感覚、揺れる視界。…いや、酔ってないし。



高「そんなフラフラな人は放置できません」



 小さく笑いながら言う優吾くん。苦笑いっぽいのに柔らかく可愛らしさのある笑顔につられてしまう。



高「会計して待ってて、着替えてくるから」
 「…優吾くん、もうおわりなの?」
高「そ。もう上がり。だから待ってて。送るから」
 「えー…それならまっすぐおうちかえんな?」
高「だから、酔っぱらいの…知り合い?放置できないって。しかも女の子」
 「なれてるし。こういうの。大我と飲んでる時もこうだし」
高「今日は大我いないでしょ。会計、しててね」



 話が長引く、と思われたのかサッと立ち上がって優吾くんはパタパタと裏に消えてしまった。


 …とりあえず、お会計するか。

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作者名:天羽 | 作成日時:2022年11月30日 3時

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