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高「大丈夫？」
優吾くんの存在に気付いたけど、驚きで返事を出来ないでいれば不思議そうにのぞき込まれる。居酒屋の制服を着ている。バイト中なんだ。…私、店員さん呼んだっけ？
「私、呼んだ？店員さん」
高「呼ばれてないけど…近く通るたびになんか沈んでる？から大丈夫かなって」
「…あー、ごめん、なんか、心配かけちゃった？」
高「まぁ、ね。お酒のペースもなんか早いし、一人だし、気にはなったよね」
「ごめんごめん。大丈夫だから。…ね、ついでだし、注文いい？」
高「それが心配なんだけど…何飲むの？」
「ん−…ハイボール、かな」
高「ほどほどにしなよ」
「はーい」
心配かけてしまった、申し訳ない。という気持ちと、優吾くんだ！という気持ちがぶつかり合う。ずっとグルグル考えて全く楽しさなんてなかったはずなのに、優吾くんに会えましたってだけで少し楽しくなってる。…さすがに酔ってるな。何倍も飲んでるし、このテンションの変わり方は酔ってる時しかないでしょ。
高「はい、ハイボールね。…で、なんで今日一人なの」
「ありがとー。それは聞かないでー」
高「聞かないでって…。あの大我が一人で飲みに出すか？」
「飲みに出すっていうか、喧嘩中？みたいな？私が悪いんだけど、どうしようもなくて」
高「へー…」
ジェシーと樹によって名前で呼ぶようになって敬語なしで話すようになって。一回勇気を出してみてからはすぐにそれに慣れることが出来て、その呼び方話し方のおかげで余計に距離が縮んだ気がする。
距離が縮んだ上に優吾くんのあの優しさ。そして酔ってる私。…口からぼろっと変なことを言わないようにお酒で口を埋めよう。
高「あーあー…そんな飲み方して。絶対後悔するよ？」
「…いーの」
高「気をつけなよ？」
「はいはい」
パタパタと店の奥に消えていく優吾くん。その背中を眺めて息を吐く。危なかった。本当に。変な言い方になるかもしれないが、あの優しさと雰囲気に甘えるとこだった。全部言うとこだった。全部言って、多分そのまま泣いてしまっていたかもしれない。そんな迷惑かけられない。
「あっぶな…」
独り言をつぶやいて、さっき持ってきてもらったものの前から飲んでいた方のハイボールを飲み切る。そのまま持ってきてもらったハイボールもぐっと飲む。
正直もうどこかに寄りかかっていたい。どこでもいい。壁でもテーブルでも人でも。なんでも。
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年11月30日 3時
