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トラブル？と一瞬頭が考えるけどすぐ思い出す。あの、派手な見た目の女の子のことだ。そうだよ。あの女の子の言ってたこと、私が一番思ってんの。「離れてほしい」って「なんで好かれてるんだろう」って。
樹「俺の今までの行動のせいで、Aちゃんが危ないことがあるかもしれないって、あの時思って、本当に後悔した。もっと別のやり方あったなって」
もう赤くもないし痛みもない、あの女の子に掴まれた腕を割れ物でも触るかのように掴む。急だったし、いつもと違う雰囲気にのまれて、それを振りほどくことはできなかった。
…そういえば、ここに連れてくるときに掴んだ腕は、今田中くんに掴まれてる方と逆だった。意識的に、なんだろうか。
樹「だから、とりあえず俺今日、よく遊んだりする奴らには言ってきた。“Aちゃんのこと好きなの本気だからそっとしてて”って。“Aちゃんに迷惑かけるようなことはしないで”って。…だから、少しはましになる、と思う。視線とか、色々…」
掴んでいた私の腕を優しくなでながら言う。その声が小さくなっていく感じから昨日の後悔と今日の自分の行動の効果への不安が滲み出ていて、いつもの自信たっぷりな感じとは真逆で少しだけ口元が笑ってしまう。でも、田中くんが真面目に話してることも分かってるから笑うのだけは我慢した。さすがに失礼じゃん？どんだけ嫌いでも。
樹「俺さ、あの女子のこと悪く言わないで自然にあの場から離れられるようにした優しさとか、嫌だっただろうにちゃんと文化祭今日も来た真面目なとことか…。なんだかんだこうやって話聞いてくれるとことか。やっぱりいいなって思っちゃった。」
樹「俺、本当にAちゃんが好きだよ。次こそは失敗しない。これからもアピールし続ける。…あと、守るよ」
最後の言葉、理解が出来なかった。でも、その先を話さない田中くん。…自分で考えるしかない、と思ったけど、話してた内容を思い出せばなんとなく、わかった気がした。
守るって、面白がるような視線とか、他の人の反応から、みたいなこと？そのためのあの中庭での行動だったし、今日よく遊ぶ人に言って回ったっていうのもそれのためでしょ？そういうことだとしたら、
「全部自分が蒔いた種じゃん」
樹「そうなんだけどね」
「あなたが私のこと諦めてくれればいいだけなんだけど」
樹「それが無理だから、色々探ってみようと思って。今回は失敗しちゃったけどさ」
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作者名：天羽
| 作成日時：2022年5月12日 2時
