接吻しないと出られない部屋 天鬼 ページ49
得体の知れないピリピリとした空気を感じ目が覚めた。見覚えのある部屋なのに嫌な気配がする。顔を上げてその気配を探る。それは簡単に見つかった。
看板をじっと見上げる1人の男性。白い忍装束は見覚えがない。だが振り返ったその顔を見て私は呆然とした。
「土井先生……？」
私の声に反応してその人物は近付いてくる。顔は土井先生のはずなのに、優しさや柔らかい雰囲気を切り捨てたような冷酷な顔。ずんずんと迫ってくる土井先生に圧倒されて、足が泥沼に浸かったように動かなかった。
「土井先生とは誰の事だ」
「…？！ど、土井先生は貴方の事です…！」
「…その名前は知らないな。私は天鬼。お前の言う土井先生とやらは身に覚えがない」
「そんな……！どうして、なんで、」
「それよりこの部屋はなんだ。何度試しても開く気配はない。お前なら何か知ってるか？」
声も顔も何もかも土井先生そのものなのに。違う、土井先生じゃない。いつもの土井先生は？何が起こってるの？
「……何故泣いている」
彼に指摘されるまで気付かなかった。ポロポロと溢れる涙は頬を伝っていく。何も口に出さない私を見て、彼はため息を吐くと手を伸ばした。優しい手付きで涙を拭かれる。思わず顔を上げたがいつもの土井先生ではなかった。
「…このお題をこなせば部屋を出れるのか？」
コクコクと頷く。困った様子で私を見下ろしていた土井先生はそっと私の顎を掬う。
「……お前、名は何という？」
「………Aです」
「そうか…。A、私の事を忘れるなよ」
唇に柔らかい感触。驚きで固まる私を良いことに、土井先生はすぐに離れると踵を返した。
「何故かは知らないがお前には特別な感情を抱いている気がする。何処の馬の骨か分からない男の名ではなく、天鬼と私の名を呼べ」
「…天鬼さん」
「……それで良い。次があるかは知らないが、その時まで私の事を憶えておくように」
「でも本当の貴方は土井先生＿＿」
「教えたはずだ」
「！」
「天鬼、そう呼べと」
冷たい目線を向けられる。見た目が同じでも中身は全く別なのだと現実を突き付けられた。弱々しく返事をした私を見て、土井先生＿＿もとい天鬼さんは部屋から去って行った。
終わり
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ツナマヨ(プロフ) - 更新お疲れ様です！リクエストなのですが尊奈門であーんをしないと出られない部屋をお願いします (3月1日 23時) (
レス) id: 4e6b57cb3e (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - リクエスト失礼します。高坂陣内左衛門で媚 薬お願いします！ (2月4日 18時) (レス) @page46 id: 09b330d235 (このIDを非表示/違反報告)
幽霊 - 返信遅れてすみません｡ (1月19日 18時) (レス) id: e072502e04 (このIDを非表示/違反報告)
幽霊 - わざわざ教えてくださりありがとうございます｡ (1月19日 18時) (レス) id: e072502e04 (このIDを非表示/違反報告)
名無しの作兵衛(プロフ) - 幽霊さん» 「閉じ込められた…？」になっております。ログインされてないと閲覧出来ないのでログインする事を推奨しています🙇 (1月13日 7時) (レス) id: 8a20bca9f6 (このIDを非表示/違反報告)
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