【文スト】和菓子屋の夜

苺大福神 ページ9

太「おすすめのモノを買うよ」

一通り店内を歩くと、太宰さんは云いました。

栗子「じゃあこの『超高級たらふく餅キャビア添え〜和洋折衷の舞〜』でどう？」

超高級たらふ(以下略)、1コ2060円也


注意!!

これは、百均のとあるスナック菓子に溶かしたチョコレートをかけてキムチをのせたものです。
味の保証はしませんが、作者は美味しいと思ってます。



流石の太宰さんも、これには引いている様で、苦笑しています。

太「私には、無理そうだな………」

栗子「じゃあ、これは？」

栗子さんが指差した先には、手書きのポップがあります(ポップとは、本屋さんとかによく置いてある、商品を紹介する何かです)。



『苺大福神』



縁起が良いのか悪いのか。想像つきません。

このお店の商品なら、尚更です。


しかし、太宰さんは目をキラキラさせました。

太「苺大福!!私大好きなんだよ!!よし決めた!!これにする!!」

栗子「毎度あり。幾つ買ってく？」

太「15個頼む」

栗子さんは、店頭の大福の山から一つずつ掴んで、紙袋に入れていきます。



苺大福神が15コ入った袋を太宰さんに手渡し、

栗子「ほい、『苺大福神』15コ」

太「ありがとう!!それじゃぁ!!」

栗子「待ちやがれ、金払え」

首根っこを掴みました。









栗子さんはレジを打ちます。

速いです。

残像が見えます。

栗子「『苺大福神』15コ。9450円也」


『苺大福神』1コ630円也。

ちょいとお高め。



太宰さんは、躊躇いなく万札を一枚出しました。

金持ちですね。


お釣り、550也。


太「これ、何かご利益があるのかな」

笑い程度に繰り出した独り言でしたが、栗子さんは意外に真面目に答えます。

栗子「頭痛、肩こり、腰痛、痔、冷え症、不眠症、インフルエンザ、癌、その他様々な病気にどうぞ」

太「すごいご利益だね!!」

栗子「多重人格、自閉症等にも、効果が確認されてます」

太「凄いね!!」

栗子「変身してヒーローになりたい方にもお勧めです」

太「和菓子の域越えてるよね?!それ!!」

栗子「夢を叶えたいなら是非この『苺大福神』、『苺大福神』を宜しくお願いします!!」

太「通販屋さん？」

違います。

営業職ではありますけどね。






さて、実際どんなご利益があるかは誰も分からない苺大福でした。


『苺大福神』









.









.









.








という名の塩大福。

えび煎餅→←苺大福神

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す