【文スト】和菓子屋の夜

○○○ ページ25

最近、この作品のネタ部分の約10分の9を担っている朔也さんが、「俺が格好良く活躍する話が見たい」と言ってきたので、どうぞ。

飛ばして結構ですよ。




扉が、ベキッ、バキッ、ゴキャ、っと音をたてました。あぁ、開いただけなんでご心配無く。

ひょこっと顔を出したのは、二人。

白髪の不思議な格好の青年と、赤い着物をまとった黒髪の少女です。

「あの、＜葉菓子堂＞って此処ですか？」

おどおどとした声で、青年が尋ねました。朔也さんは柔らかい笑みを浮かべました。

「はい。ようこそ、＜葉菓子堂＞へ」

朔也さんが答えると、青年と少女は一度顔を見合わせてから、店に足を踏み入れました。

二人は朔也さんの前に並びました。

「こんにちは。僕は探偵社員の中島敦です。えと、今度は僕の番でしたので」

「分かってますよ、お得意さん。そちらの御嬢さんは？」

「た、探偵社員の、泉鏡花です」

少女は顔を赤らめながら、名乗りました。朔也さんは、笑みを崩さぬまま二人を手招きました。

「どうぞお好きなものを。」

それから、敦君と鏡花ちゃんのお買いものの手伝いに入ります。

今まで探偵社員の皆さんが買っていった商品を復習すると、ぱんぷきん饅頭、苺大福神、海老煎餅、揚げまんじゅ、でしょうか。

飴細工は、探偵社員の皆さんへ向けたものではなく、乱歩さんと福沢さんへ向けたものでしたので、ノーカウントです。

「それ以外で大人数で配れるものを作るか……」

朔也さんはブツブツと呟いています。

元より、此処に置いてある和菓子は大人数で分け合うのには不向きなお菓子が多いです。

朔也さんは、栗子さんにまた作ってもらうことを考えましたが、また起こしてしまうことは申し訳ないと思い、止めました。

敦君と鏡花ちゃんは、店をぐるぐる回り、これが美味しそうだ、これを見たことがある、個人的に好き、と楽しそうに話を弾ませています。

お二人を見る限り、まだどちらも20歳もいっていません。なるべく安いお菓子を提供して差し上げようと、朔也さんは頭を捻りました。

後ろでは、敦君と鏡花ちゃんが話しています。

「鏡花ちゃん、此れなんかどうかな」

「貴方が選ぶものでいい。私は、それが食べたい」

鏡花ちゃんの澄んだ瞳が、敦君を映します。

何とも微笑ましいですね。

え、お、お？

「朔也殿、久しいのぉ。おや……鏡花と、虎の童」

次に店の敷居を跨いだのは、ポートマフィアの五大幹部、尾崎紅葉さんでした。



前言撤回、飛ばすんじゃねぇぞ。

○○○→←飴細工

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す