飴細工 ページ22
「で、何が欲しい?」
栗子さんが尋ねると、乱歩さんは急に真顔になりました。
おずおずと視線を福沢さんへ移します。
「全部……?」
福沢さんは視線で制しました。『ふざけるな』と。
乱歩さんは、不満そうな顔をしながらも渋々頷き、再びお菓子の選別を始めました。
栗子さんは再び店の奥へ戻り、残された朔也さんは、少し居心地が悪く思っていました。
福沢さんは仏頂面で構えています。これは話しかけづらい。
意を決し、朔也さんは福沢さんに話しかけました。
「素敵な……素敵な手ですね」
其処かい。
つーか、福沢さん全然手ぇ出してませんが?
「福沢さんも、若しかして料理屋ですか?」
さっき探偵社云うとったやろがい。
「やっぱ蜜柑のあの筋って食べる派ですか?」
駄目だ、もう。
このチキンが
福沢さんも、対応に困ってますよ。
きっと、そんなに気難しい人じゃないんですよ、威圧感がぱないだけで。
「先ほどの会話、聞いていたか?」
福沢さんがゆっくりと話しました。
一つ一つの言葉に重みがあり、自分の裏側から何まで見られているようでした。
「いえ、聞いてませんが」
朔也さんは首を傾げました。
「それならいい」と、福沢さんが云いました。後ろめたいことを知られたいのではなく、この店を守りたいのでしょう。
後ろでは、お菓子の選別にものすごく悩んでいる乱歩さんがいました。
箱を10個近くかかえ、うるうるとした瞳で見つめてきます。
普通の女子なら「よかろう」と即答したであろう破壊力でしたが、福沢さんは逆に、嫌悪感を丸出しにした顔で、乱歩さんを見ました。
渋々箱を戻す乱歩さんの背中は、飼い主にかまってもらえない猫の様でした。
朔也さんは、さっきのアレで話のネタが尽きたのか、再び黙ってしまいました。
すると、店の奥から何か焦げたような臭いがしました。
福沢さんは顔を顰め、朔也さんも不審そうに目を細めました。
このお店は木造です。この無法者の巣窟たるヨコハマの路地裏で、木造の店を開くなんて、自 殺行為でしかありません。
しかし、ポートマフィアの守りがあるこのお店は、そんな事気にする必要がないのです。
この店を焼いたその瞬間から、マフィアの報復に追われること確定ですから。
それでもなおこの店を焼こうとするなんて、命知らずですね。
運悪く、探偵社もいます。
放火だとしたら、放火犯の最後に涙を禁じえません。
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ユキ(プロフ) - 応援してます! (2020年10月2日 1時) (レス) id: 92966b4d55 (このIDを非表示/違反報告)
2丁目のひきこもり(プロフ) - 心愛さん» ありがとうございます!!私も書いてる最中えづらこさんの妨害を受ける事がありますww終わる終わる詐欺でよかたぁああああa(蹴 (2018年9月20日 19時) (レス) id: e7f710c5d0 (このIDを非表示/違反報告)
心愛(プロフ) - とても面白いです!話が全然関係ないのですが、栗子と聞くと銀魂の、片栗虎がでてくr((蹴 (2018年9月18日 16時) (レス) id: 61e72eddf1 (このIDを非表示/違反報告)
2丁目のひきこもり(プロフ) - さくっとチョコレゐトさん» ありがとうございます!!店主二人の和やかな感じ、私も好きです。更新頑張ります!! (2018年1月21日 10時) (レス) id: e7f710c5d0 (このIDを非表示/違反報告)
さくっとチョコレゐト(プロフ) - すごい好きです。このゆるい感じが何ともたまんないです。お気に入りしました!楽しみにしてます! (2018年1月21日 0時) (レス) id: 17f3b0bb3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:2丁目のひきこもり x他1人 | 作成日時:2017年11月21日 21時