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友達の条件 ページ33

「なッ!!」

芥川が驚きの声を上げる。

中島も同じように、驚嘆の表情。

二人の間を、駆け足ですり抜ける。

「愛しい家族が待ってるんでな」

このまま敷地を抜けよう。

恐らく二人の驚き方からして、俺の異能は割れていない。

まぁ、分かっていても視覚で確認出来ないから、大して怖くは無いが。


「……て、待てよ俺」


俺は足を止めることなく、思考だけを一旦停止させた。


落下地点には3人居ただろ。

女があと一人、いるはずだ。

俺の見間違いじゃなけりゃ、彼奴は……




「……マジかよ」

俺は自嘲する。

余りに膨大な重力に、俺は足を動かす事が出来なくなる。

コツリ、と靴音が鳴った。


「出てきな、いるんでしょ」


聞き覚えの有る、女の声。

彼奴の面を拝んでおこうと、異能を解除した。


「ったく、二度と会いたくない相手ナンバー3位だぜ。詐欺師さんよォ」


「さしずめ、一位と二位はあの人達かな」



昔と何も変わらない。

低い身長に、線が細くて凹凸の無い体、風を孕んで揺れる俺と同じ赤い髪。


「久しぶり、元仲間」

「あぁ、元気してたか元仲間」


中原A。


今回の目玉商品だ。


俺達はニヤニヤと笑いながら、見つめ合う。

「流石リータル、出てきてくれたか」

「人の目を見て話せと、お前に教えたのは俺だからなぁ」

この面子じゃぁ、と両腕を広げてみせる。

「誰も俺のことが見ェねぇ」

挑発的に笑うと、Aもふざけた笑みを浮かべる。

「まさかリータルが<コミュニティ>だったとは。いい機会だし、どうする?此処で決着着ける?」

「否、家族の元に帰る」


Aは考え込む様に、それでいて嘲笑う様に云った。


「家族、家族、家族ねぇ」

じゃあ、と言葉を切る。


「君にとっての家族って、どんな感じの人達?」

「そんなこと考えなくてもいい奴ら」


俺は即答した。

「じゃあな、元仲間、今日の所は引くぜ」

再び異能を発動させ、俺は夜に溶けた。


「逃がさぬ」


耳元で囁かれる。


刹那、右腕に激痛が走る。

見ると、黒布が腕を貫通していた。

振り返り、黒布を辿る。


「……芥川」


恐ろしい迄に殺気を放ち、目を剥いて、俺を捉える。


「逃がさぬ。お前は、僕によって息の根を止められるのだ」


暫くじっと奴を見詰める。

そして、ゆっくりと上がっていく口角に自嘲した。

「面白い……。前言撤回だ、A」

両手を三日月に捧げる。

「お前らは、ここで殺しとく」


俺は、
自分の楽しみの為に、
人を殺す。

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2丁目のひきこもり(プロフ) - 蘭香さん» ありがとうございます!!(^ ^)頑張ります!!頑張りま、あ……、(・з・;)〜♪頑張ってみせます(汗) (2018年5月22日 21時) (レス) id: e7f710c5d0 (このIDを非表示/違反報告)
蘭香 - とっても面白いです!これは★いっぱいやな。更新待ってますー頑張ってくださいね! (2018年5月21日 19時) (レス) id: 4a14a6da47 (このIDを非表示/違反報告)
2丁目のひきこもり(プロフ) - 夏目さん» ありがとうございます!!そういって頂けて嬉しいです。何とか時間を見つけて更新していこうと思います!! (2018年5月19日 18時) (レス) id: e7f710c5d0 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - 面白かったです!これからも更新待ってます!頑張って! (2018年5月19日 5時) (レス) id: 6f15b8d456 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:2丁目のひきこもり | 作成日時:2018年4月7日 17時

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