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プロローグ ページ2

〔中学時代〕


「ごめんね、桜……こんな時期に引越させて。でもね、どうしてこればっかりは」

「いいの、お母さん。仕方ないことだから。」

少し無愛想になってしまっただろうか。
続きがどうしても聞きたくなくて、言葉を遮った。

車から外を見下ろし、お母さんから見えないようにため息をついた。

引越しは初めてじゃない。
どころか、何回もしているのでもう慣れっこだ。

…でも本当は、嫌いだ。



お母さんは何度も何度も結婚しては、何度も何度も離婚している。

…人の恋愛に口出しする趣味はないが、娘としてはあまり嬉しいことではない。



引っ越すたびに会うあたらしいお父さんに、
少し嫌悪感を感じるようになったのはいつからだろう。

そんな気持ちを押し切って微笑んで挨拶するのにあんなに体力が必要になったのはいつからだろう…


…出来ればもう着いて欲しくない。
前の家に戻りたい。

なんて、切に願った。




「着いたわよ。」

さっきまで疲れた様子で運転していたお母さんが、満面の笑みでそう言った。


新しい家は新築のようで、ヨーロッパにありそうなおしゃれな家だった。


「綺麗でしょ。新しいお父さんのことも絶対気に入るわよ」


私が家を眺めていると、お母さんが後から肩に手をかけてきた。



反射的にか、軽蔑からか私はその手を振り払ってしまった。



「う、…うん。」




「彩花!会いたかったよ!!」

新しいお父さんとなる人がこっちに向かってきた。


「慶!ほら桜、お父さんよ
挨拶なさい」


お母さんが小声で言った。


「は、初め、まして…清水さくら…です」


深くお辞儀をしてから、顔を上げると


「…ああ、前の苗字ね。
今日から佐倉だから、よろしく。



…あと俺、子供嫌いだから。あんまベタベタすんなよ。」

「あ、待って慶!!」


(そんな言い方って…)

衝撃で言葉が出ず、しばらく立ち尽くしていた。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:さやか | 作成日時:2018年7月19日 22時

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