神童 ページ34
シャラン、と見た目にそぐわぬ軽い金属音を立て
着物の袖口から鎖が伸びる。
それによって拘束され、必死に足掻く動きの封じられた対象に
容赦なく青白い炎が浴びせられる。
ゴウッと燃え上がる炎が縛られたそれに触れると同時、
醜く、耳に痛い絶叫が届く。
反射的に耳を塞ぎたくなるような声は次第に小さくなっていき、
とうとう何も聞こえなくなった頃には、
縛られていたそれは灰燼と成り果て消えていた。
燃やし尽くしても、尚も燃える炎が揺らめく。
…熱い
呟く少女の手には、未だ燃える炎と同じ物が揺れている。
手をひらひらと払う様に振るえば、炎は風に吹かれて消えた。
シャンシャンシャン。
手を長いこと見つめていると、
鈴によく似て異なる音が近づく。
遠く離れかけた意識が戻って来る。
脳から放り出かけた存在が目の前にいた。
ほんのり熱の残る手に、柄杓に入った水が掛かる。
熱された手が人並みの体温に戻る。
目の前の存在の頭を撫でると
袖をばたつかせてシャンシャンと声の様に音が鳴る。
可愛らしい行動に、心の生き返る感覚が分かった。
自分でも気付かなかったが、余程疲れているらしい。
今日はキャラメルでも買おうか。
甘味であれば友人も呼ぼう、私だけではつまらない。
午後の予定を組んで、
菓子を頬張る友人の姿に頬を緩ませる。
何とない日常、変わらぬ何もかも。
一変する事など考えもしない、夏の真っ盛り。
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さくら(プロフ) - 月ヶ瀬@猫さん» 秀麗だなんてそんなとんでもない…ありがとうございます!今後も頑張っていきますので、今作をどうぞよろしくお願いします! (2020年2月28日 7時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬@猫 - さくらさん» すごく秀麗な文章に圧倒されました……もう私語彙力無さすぎ……これからも更新頑張って下さい! (2020年2月28日 0時) (レス) id: 579741ae87 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - さくらみるくさん» いえいえお気になさらず!美しいだなんてもったいないお言葉ありがとうございます!冒頭の日常を切り取った文章はまさに『美しい』を目指して書いていたので、そう言っていただけると嬉しいです!そのお言葉で明日からも更新頑張ります (2020年2月26日 21時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
さくらみるく - 夜分遅くにすみません、さくらみるくです!!もう毎度のごとく美しい文章...そして可愛い夢主ちゃん...全てが私の好みです...。これからも応援してます!更新頑張って下さい〜! (2020年2月26日 21時) (レス) id: babdecb30b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら x他1人 | 作成日時:2020年2月11日 22時