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ページ26

「…A」

先程までの明るい声とはガラリと変わり、
深刻そうな声に返事をしようと横を向く。

「いつでも、コッチに来ていいからネ?」

…目の前に、月が見えた。

額がコツリとぶつかる。
髪がサラサラと音を立てて揺れる。
影が掛かっていて見えづらいが、目はこちらを凝視しているのが分かる。
唇が触れるか触れないかの絶妙な位置で、首に手が回り固定されている。

ぐりぐりとおでこを擦り付けられる。
摩擦が少し痛いが、懐かしい、とも思えた。
五つぐらいの時から良くあった光景なので、
突き放す気にはならなかった。

…体温のない体が、少し寂しかったが。

「…ごめんね」

そちらに回れないから?否。
側にいてやれないから?否。
この二つの罪悪感から?否。

…あの時、二人に目を向かられなかったから。
自己満足のための謝罪、かも知れない。

「イーヨ」

顔に手が触れた。
撫でられる。割れ物に触るような手付きで。

「許してあげる」

鼻に口付けが落ちる。
…やはり体温はないが、温かさを感じてしまう私は、
余程思い出に浸かっているのだろう。
きっと、夜風を遮られているからだろうに、悲しい錯覚だな。
辛辣な自虐を心の中で吐いて、頬に口付けを落とした。

ぽかんと驚きで口の空いた顔が、
子供の無邪気な笑みに途端に変わるその様が、
多分、私の一生の後悔なのだと感じた。






































「ああああ!お菓子!!!」

「また今度呼んでくれれば良いよ」

「………そっか!!!!」

故に孤悲→←・



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さくら(プロフ) - 月ヶ瀬@猫さん» 秀麗だなんてそんなとんでもない…ありがとうございます!今後も頑張っていきますので、今作をどうぞよろしくお願いします! (2020年2月28日 7時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬@猫 - さくらさん» すごく秀麗な文章に圧倒されました……もう私語彙力無さすぎ……これからも更新頑張って下さい! (2020年2月28日 0時) (レス) id: 579741ae87 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - さくらみるくさん» いえいえお気になさらず!美しいだなんてもったいないお言葉ありがとうございます!冒頭の日常を切り取った文章はまさに『美しい』を目指して書いていたので、そう言っていただけると嬉しいです!そのお言葉で明日からも更新頑張ります (2020年2月26日 21時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
さくらみるく - 夜分遅くにすみません、さくらみるくです!!もう毎度のごとく美しい文章...そして可愛い夢主ちゃん...全てが私の好みです...。これからも応援してます!更新頑張って下さい〜! (2020年2月26日 21時) (レス) id: babdecb30b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら x他1人 | 作成日時:2020年2月11日 22時

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