初恋相手は花子さんやってました。

日暮れの密会 ページ21

春終わり際の、生温い風が肌に触れる。
授業開始の鐘が鳴り響く。
遠くまで建物の連なる街並みを
少し間隔の狭いベンチに座って、ぼうっと見つめる。


サボり仲間見ーっけ


珍しく屋上に生徒が、と思いきや
聞き覚えのある声に少し驚く。

声の主はこちらを指差して、嬉しそうに笑う。
ガタンと扉の閉じる音が聞こえた。
声の主はパタパタと忙しくこちらに駆け寄る。


仲間って事はそっちもサボり？

ゴメートー！


ごめーとーじゃなくて御名答な？
訂正を入れれば
伝わってるんなら良いのー と返される。

そして流れる様に膝に頭を置く。
所謂膝枕。小さい頃から変わらない習慣の様なものだ。
頭に丸くなった猫の姿が過った。


小学校高学年にもなってまだやるの

だって普の膝カタイもん


成長期入った男ならそりゃそうでしょ。
溜息を吐きながらも頭を撫で始める私も癖になっているなと実感する。


で、今日はなーにしたのさ

ア、バレる？


あんたが膝枕強請る時は何か仕出かした時ぐらいですー
頭に軽くチョップを入れると、
バレてるー とケラケラ愉快に笑い出す。

懐かしい、初夏間近の話。

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