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「…ん?」
「それで普が 嬉し? って聞いて
私がボソって言って聞こえなかったやつでしょ?」
私が疑問を普に問う。
すると何やら納得した声音で、
「そっかーそっちかーーー」
再び顔を肩に埋められる。照れ隠しと見た。
そっちとは何方だろうか。もしや話が噛み合っていなかったんだろうか。
聞くため、口を開こうとした。
「、」
「俺は」
普が先だった。
そしてしばらくの間。
口下手な普の事だから、大方どう言ったものかと悩んでいる。
しばらく待つ。十数秒の間の後、
「ソレもだけど、俺は夏祭りの事が聞きたいの」
…
…
・・・。
「そっちか」
「そうだよ!!」
ええい、耳元で騒ぐな。
そんな爺さんの様な心の声を上げて手をはらう動作。
そういえば普は本は読まないから、
私の返し方は知らなかったかもしれない。
一般的には有名な返し…と言うか定番だが、
普の事だ、あり得てしまう。
「それも私言ったじゃん?」
「え」
間抜けた声が返ってくる。
多分、これも予想してなかったんだろう。
そんな面白すぎる想像を膨らませつつ、考える。
こんな事、今更言って良いものか。
生者と死者。その境にある壁は高く、大きなものだ。
彼が生きていたならまだ返せた。しかし今は死者だ。
そんな蛇足を考えてしまう。
だけどめんどくさくなって。
だから何だ?そこに何の問題がある?
言う。言え。
言ってしまえ。
意を決す。
普段なら言わない事への少しの緊張感と、ほんの少しの熱。
今度こそ、しっかりと聞こえる声で。
「私、死んでもいいわ ってさ」
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さくら(プロフ) - 月ヶ瀬@猫さん» 秀麗だなんてそんなとんでもない…ありがとうございます!今後も頑張っていきますので、今作をどうぞよろしくお願いします! (2020年2月28日 7時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
月ヶ瀬@猫 - さくらさん» すごく秀麗な文章に圧倒されました……もう私語彙力無さすぎ……これからも更新頑張って下さい! (2020年2月28日 0時) (レス) id: 579741ae87 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - さくらみるくさん» いえいえお気になさらず!美しいだなんてもったいないお言葉ありがとうございます!冒頭の日常を切り取った文章はまさに『美しい』を目指して書いていたので、そう言っていただけると嬉しいです!そのお言葉で明日からも更新頑張ります (2020年2月26日 21時) (レス) id: f3613561c3 (このIDを非表示/違反報告)
さくらみるく - 夜分遅くにすみません、さくらみるくです!!もう毎度のごとく美しい文章...そして可愛い夢主ちゃん...全てが私の好みです...。これからも応援してます!更新頑張って下さい〜! (2020年2月26日 21時) (レス) id: babdecb30b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら x他1人 | 作成日時:2020年2月11日 22時