少女は月明かりの旋律を紡げるか 第１部【怪盗キッド】

少女は月明かりの旋律を紡げるか 5 ページ5

「ねえねえA！！放課後少しだけ空いてる？近くに可愛いカフェができたのよ〜蘭と3人で行きましょ！？」
授業が終わるなり満面の笑みで話しかけてくる友人、鈴木園子に目を丸くしてはすぐに申し訳ないと眉を下げる。
「ごめん！行きたいんだけど……今日もこの後すぐレッスンでさ。また誘って？」
「えーっ！？少しもダメなのぉ！？」
「園子、仕方ないよ。今Aはコンクール前なんだもん、そんな事言ったら困っちゃうでしょ？」
不満そうな声を上げる園子に後ろから声をかけてくれるのは同じく友人の毛利蘭だ。
「それはわかってるけどー！最近全然遊べないんだもん、寂しいじゃないー！」
そういうなりこちらに抱き付く園子を受け止めては、蘭と目が合って思わずお互いに笑みを浮かべる。
「ごめんごめん、コンクール終わったら必ず一緒に行くから。ね？」
「本当に〜？？絶対よ！？」
「もちろん！」
近距離で顔を覗き込んでくる園子に笑みを返して大きく頷くと、仕方ないなあ、と呟いて園子が離れる。
「でもコンクールが近くてもパーティーには呼ばれてるでしょ？蘭も呼んでるし、その時にゆっくり話しましょ！……あ、でもなかなかそれも……いや！大丈夫！あの嫌味なお祖母さんからはこの園子ちゃんが！守ってあげるから！」
名案だと言わんばかりの園子だったが、あ、と呟いては少々気まずそうな顔を浮かべすぐに首を振り力一杯励ますようにこちらを見る。それに蘭もああ……と呟いて眉を下げた。
「この前のパーティーで会った、ええと……永月さん、だっけ。お祖母様」
「あはは……この前はごめんね……」
前回参加した鈴木家のパーティーを思い出し思わず顔が引き攣る。祖母は残念ながら私と父をよく思っていない。だが、由緒正しき永月家は代々当主が女性と決まっている。現在の当主は祖母だが、次の当主は私になるらしく……当主にはなって貰わないと困るが私の事は気に入らない、と言うわけで顔を合わせると嫌味のオンパレードなのだ。
「なーんでAが謝るの！！毎度毎度Aの事をなんだ思ってるんだか！大丈夫、私と蘭が離れずぴったり側にいてあげるからね！」
「うん、できるだけお祖母様の嫌味攻撃からは逃れられるように」
「ありがと。心強いよ！」
二人が側にいてくれるなら今回のパーティーも平気だ。ホッとして立ち上がると同時に園子が携帯を見て叫んだ。思わず蘭と二人でぎょっとしてどうしたのか聞こうとすると。



「キッド様が予告状出したって！！！！」

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