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少女は月明かりの旋律を紡げるか 26 ページ26

「好きな人。いるのか?」
「……私?好きな人……」
きょとんとしている私に更に快斗くんが質問で返事を返す。好きな人、とぽつりと呟いた時に一瞬怪盗キッドが脳裏をよぎったが──


「うーん……なんかそんなんじゃないな……」
「?そんなんじゃない??」


思わず声に考え込みながら声に出してしまう。快斗くんが問いかけてくるがそれには応えずそのまま考えに耽る。確かにキッドの事は好きか嫌いかで言うなら好きだ。だがそれが恋愛かと言われるとそれは違うような気がする。惹かれてもいるだろうが、それは多分彼のエンターテイメント性に対してだ。それならこれはきっと恋愛感情というよりも、憧れや尊敬──が正しい気がする。


「恋愛的な意味ではいないけど、目標にしている人ならいるかな」


「目標に、ね。なるほど。俺にもいるぜ、目標にしている人」
目標にしているのはキッドだけではないが、しばし考えた後にそう答えると同じだと快斗くんが言うのに私は目を丸くした。
「快斗くんにも?誰か聞いていい?」
「親父だよ。俺の親父、世界的なマジシャンだったんだ。黒羽盗一、って聞いた事ねえか?」
「───!!え!?あの人快斗くんのお父さんだったの……!?」
黒羽盗一と言えばエンターテイナーの間では知らない人はいない世界的マジシャンだ。既に亡くなられてしまったと聞いたがまさか快斗くんのお父さんだったとは。私の反応に嬉しそうに快斗くんが得意げな笑みを見せる。
「お、知ってたか。俺の目標だ、いつか親父を超える世界的マジシャンになるのがな」
そういえば青子ちゃんもよく快斗くんのマジックは凄いとベタ褒めしていた。そんなに凄いのかと話を聞くたびいつか見てみたいと思っていたのだった。
「快斗くん、よかったらマジック見せてくれない?青子ちゃんから聞いてて、一度見てみたいと思ってたの」
「おう、構わねーぜ。じゃあ……」
そう言って快斗くんはおもむろに制服のポケットからトランプを取り出した。慣れた手つきで裏向きで広げるとこちらに1枚選ぶように促す。私は悩んだ末真ん中より少し右側のカードを取った。ハートの7だ。
「じゃ、どこでもいいから戻して、このまま渡すからしっかりときってくれるか?俺は後ろ向いてるからさ」
そういうとトランプを私に渡して快斗くんは後ろへ向いた。私は言われた通りにハートの7を戻してしっかりときる。終わった事を告げて快斗くんへトランプを返した。

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設定タグ:名探偵コナン , 怪盗キッド , まじっく快斗   
作品ジャンル:アニメ
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さくら(プロフ) - 雪村セツカさん» 雪村さん初めまして!表現褒めて頂けて嬉しいです……!!のんびり更新していきますので、お時間ある時にまた覗いてやって下さいませ! (2019年5月29日 23時) (レス) id: 6161016a7e (このIDを非表示/違反報告)
雪村セツカ - 凄い表現の小説です!この後もとても楽しみです! (2019年5月29日 21時) (レス) id: d20236ed14 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 彩奈@Project KZさん» 彩奈さん初めまして!わあ、ありがとうございます……!お暇な時にゆるりとまた見て下さると嬉しいです☆ (2019年5月29日 7時) (レス) id: 671013a88c (このIDを非表示/違反報告)
彩奈@Project KZ(プロフ) - すごく面白かったです!引き込まれました!!今後の展開が楽しみです! (2019年5月29日 7時) (レス) id: 31fa4da9ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2019年5月24日 8時

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