少女は月明かりの旋律を紡げるか 24 ページ24
カーテンの隙間から朝日が差し込む。眩しさで意識が浮上すると、ゆっくりと目を開け身体を起こした。
ふと視界にキッドに貰ったドレスが目に入る。ドレスは朝日を受けてきらきらと輝いて見えて、思わず私は目を細めてドレスを見つめた。
───────
「それで、どうなの？歌えた？？」
あれから数日経ってまた私は青子ちゃんと晩御飯を食べていた。ただ前回と違うのは、この場に今回は黒羽くんもいる事だ。青子ちゃんが誘ったらしく、特に問題もないのでご一緒してもらった。
注文を済ませるなりまず真っ先に青子ちゃんに歌えたかどうかを聞かれる。私は視線を逸らした。
「あはは……じ、実はまだ。何度か試してみたんだけど」
困った事にあれから何度か歌ってみようとはしたのだが、やはり歌うとなると声が出ない。私の返答に青子ちゃんが落胆する。
「そっか……まだかかるのかな」
「コンクールっていつだよ。近いって言ってなかったか？」
「後10日」
黒羽くんの問いかけに苦笑しながら答える。せめて一週間とは言わない、数日前でいいから戻ってくれないと厳しいのだがと思いつつ、すぐに運ばれてきたジュースを一口飲んだ。
「病院に行っても解決しないんだよね？どうしようもないし大変なのはAちゃんなのに青子が焦っちゃうよ」
青子ちゃんが眉を下げてそう言うのに黒羽くんが小さく溜息をついた。
「お前がそんなんでどうするんだよ、お前の取り柄なんか空気も読まず明るい所だけだろーが。励ますならまだしもそれじゃ返ってAを追い詰めるぞ」
「！そ、そっか、そうだよね……！ごめん、Aちゃん」
「そんな！心配してくれてるのわかるもん、大丈夫だよ。ありがとう青子ちゃん、黒羽くんも」
「快斗でいーよ」
「！あ、ありがとう、快斗くん」
気が付けば快斗くんも私の事を下の名前で呼んでいるし、お言葉に甘える事にした。笑みを向けるとふっと快斗くんは笑い返してくれた。
「しっかり長時間休めって事なのかも……ま、焦らずやるよ。焦ったらこのままずっと歌えないかもしれないしね」
「うん、そうだね……！確かに焦るとよくないもんね。大丈夫！絶対Aちゃんはまた歌えるから！Aちゃんずーっとレッスンばっかりだったもん、折角だから沢山遊んじゃおう！」
「そうだね。遊ぶかあ……確かに遊びには行ってなかったし、この機会に何処か行くのはいいかも」
歌えるようになればまたレッスン漬けの生活だ、そうなる前に遊ぶのは悪くないと頷いた。
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さくら(プロフ) - 雪村セツカさん» 雪村さん初めまして！表現褒めて頂けて嬉しいです……！！のんびり更新していきますので、お時間ある時にまた覗いてやって下さいませ！ (2019年5月29日 23時) (
レス) id: 6161016a7e (このIDを非表示/違反報告)
雪村セツカ - 凄い表現の小説です！この後もとても楽しみです！ (2019年5月29日 21時) (レス) id: d20236ed14 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 彩奈@Project KZさん» 彩奈さん初めまして！わあ、ありがとうございます……！お暇な時にゆるりとまた見て下さると嬉しいです☆ (2019年5月29日 7時) (レス) id: 671013a88c (このIDを非表示/違反報告)
彩奈@Project KZ(プロフ) - すごく面白かったです！引き込まれました！！今後の展開が楽しみです！ (2019年5月29日 7時) (レス) id: 31fa4da9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら | 作成日時：2019年5月24日 8時
