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少女は月明かりの旋律を紡げるか 18 ページ18

コナンが表情を険しくするのに同じように自分も表情を険しくした。傷付いて当然、歌えなくなる訳だ。それなのに軽い様子で大丈夫だと言い張っていたが……しっかり傷付いてるじゃねーか。
中身を青子に伏せた理由に納得がいった。園子お嬢様も泣いて怒ったぐらいだ、聞いていたら青子も泣いて怒っただろう。
「Aは俺のクラスメートでもあるからな。俺も心配なんだが……なんでお前がそんな事を聞くんだ?」
そういえばとコナンがこちらを見る。小さく溜息をついては再びひょいっとコナンを抱え上げ、グライダーで地上へ戻る。
「ちょっとした縁でな。俺も心配してるってこった。しかし胸くそわりぃ話だな……」
コナンを地面に降ろしながら吐き捨てるように言うとコナンも溜息をつく。
「そうだな。……お前が何をするつもりか知らねーが、あいつを傷つける事だけはするなよ」
「当たり前だろう?俺は俺に出来ることをするだけだ」
こちらを睨むコナンに不敵な笑みを向けては、じゃあな、と再びその場を飛び立った。
「ったく……いつもながら突拍子も無いやつ」
飛んでいくキッドを見送りながらぽつりと疲れたように呟いてはコナンもその場を後にした。





─────────




「………うーーーーーん。どうしようかな」
いつものマンションの屋上。沢山の紙を前に私は一人唸っていた。
とりあえず歌えないので無理に歌うことはせず、歌の先生から貰った沢山の衣装案の紙とにらめっこしている真っ最中である。屋上は庭園になっており、電気が付いている場所とそうでない場所がある。楽譜をしっかり読みたい時や何か書き物がある場合は電気の付いている方のテラス席に居座るのが私の習慣だ。(ちなみに歌う時は月明かりや星明かりの下がいいので電気の付いていない方のベンチにいる)息抜きにコンクールの衣装でも選ぶといいと言われ実行中な訳だが、何せ衣装案が多すぎて結局決めきれないでいた。明日蘭や園子にアドバイスをもらおうかと広げた紙を集めようとした瞬間、少し強めの風が吹き衣装案の紙が宙に舞った。
「わ……!!──え???」
慌てて紙を掴もうと手を伸ばし宙を見上げるとそこには、紙を既に何枚か手に取った怪盗キッドが木の枝に座りこちらを見下ろしていた。



「──こんばんはお嬢さん。……今日は歌っていらっしゃらないんですか?」



目を細めてキッドが笑いかけてくる。ひらひらと落ちてくる衣装案の紙に目もくれず、私は固まってキッドを凝視していたのだった。

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設定タグ:名探偵コナン , 怪盗キッド , まじっく快斗   
作品ジャンル:アニメ
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さくら(プロフ) - 雪村セツカさん» 雪村さん初めまして!表現褒めて頂けて嬉しいです……!!のんびり更新していきますので、お時間ある時にまた覗いてやって下さいませ! (2019年5月29日 23時) (レス) id: 6161016a7e (このIDを非表示/違反報告)
雪村セツカ - 凄い表現の小説です!この後もとても楽しみです! (2019年5月29日 21時) (レス) id: d20236ed14 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 彩奈@Project KZさん» 彩奈さん初めまして!わあ、ありがとうございます……!お暇な時にゆるりとまた見て下さると嬉しいです☆ (2019年5月29日 7時) (レス) id: 671013a88c (このIDを非表示/違反報告)
彩奈@Project KZ(プロフ) - すごく面白かったです!引き込まれました!!今後の展開が楽しみです! (2019年5月29日 7時) (レス) id: 31fa4da9ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら | 作成日時:2019年5月24日 8時

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