少女は月明かりの旋律を紡げるか 15 ページ15
「へ?……Aちゃん!」
「もう、突然走って行っちゃうんだもんびっくりしたよ。置いてかないでよね?」
目を丸くする青子にくすくすと笑う。と、横に知らない男の子がいたのに気付き視線を移す。目が合った。
「……ええと?……あっ!もしかして。彼があの黒羽快斗くん?」
こちらを驚いたように見る男の子に首を傾げるも、もしかしてと思えば青子に問いかけた。
「え?あ、う、うんそう。幼馴染の、黒羽快斗。ご、ごめんねAちゃん、置いてっちゃって」
「ううん、いいよいいよ。気持ちは嬉しかったし」
申し訳なさそうにする青子ちゃんに笑みを返しては、黒羽君へと向き直る。
「初めまして。私は星華A。青子ちゃんとはお父さん同士が知り合いなの。……貴方のお噂は青子ちゃんからかねがね」
そう言って悪戯っぽく笑ってみせた。その言葉に僅かに照れ臭そうに視線を私から黒羽君は外す。
「あー……黒羽、快斗です。青子がどうせ碌な話してねーんだろうけど」
「それは快斗が悪いんでしょ!」
黒羽くんの言葉にすかさず青子ちゃんがツッコミを入れる。流石幼馴染、いいコンビという感じだ。
「ふふ、仲が良くて結構だね?っと、そうだそうだ青子ちゃん、本当に心配してくれてありがとう。それだけで十分癒されたよ?」
「べ、別に仲良くなんか!……本当に?青子、何もしてあげられないから……」
「こんなに心配してくれてるじゃない。これ以上変な心配かけないように早くなんとかしなくちゃね」
「……どうやって?」
十分過ぎると青子に笑みを返すが、続く言葉にもツッコミを入れられてしまう。思わず困った表情を浮かべる。
「う、うーん?どうしようかなあ……これ!っていうものはまだ思いついてないし、まぁとりあえず数日は無理せず様子見てみる、かなあ」
「うううう………それしかないんだよね……」
まずは休まないとどうしようもないだろうとそう言うと、悔しそうに青子ちゃんが唸った。それに笑みを返す。
「まあまあ、もしかしたらすぐ治るかもしれないし!ね?」
「……わかった。何かあったらまたすぐ青子には言ってね?」
「もちろん!」
このままだと本当に端から端までの雑貨を買いかねない青子ちゃんにそう言うと、外に視線を移した。大分暗くなっている。
「結構時間経ったね、暗くなりきる前に帰ろ?」
「あ、青子まだ寄るところがあるんだった!快斗、Aちゃん送ってってあげて!」
──まさかの青子ちゃんの発言に、私と黒羽君は揃って目を丸くした。
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さくら(プロフ) - 雪村セツカさん» 雪村さん初めまして!表現褒めて頂けて嬉しいです……!!のんびり更新していきますので、お時間ある時にまた覗いてやって下さいませ! (2019年5月29日 23時) (レス) id: 6161016a7e (このIDを非表示/違反報告)
雪村セツカ - 凄い表現の小説です!この後もとても楽しみです! (2019年5月29日 21時) (レス) id: d20236ed14 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 彩奈@Project KZさん» 彩奈さん初めまして!わあ、ありがとうございます……!お暇な時にゆるりとまた見て下さると嬉しいです☆ (2019年5月29日 7時) (レス) id: 671013a88c (このIDを非表示/違反報告)
彩奈@Project KZ(プロフ) - すごく面白かったです!引き込まれました!!今後の展開が楽しみです! (2019年5月29日 7時) (レス) id: 31fa4da9ec (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2019年5月24日 8時