検索窓
今日:28 hit、昨日:2 hit、合計:35,421 hit

後悔はしていない ページ2

銀時side


土方くんと沖田くんが屯所の方に戻るべく俺たちの前から立ち去ってから、俺はやんわりとAに中指を立てるのはやめた方がいいと提案した。Aは中指を立てて見せるポーズを『いつもありがとう』の意だというように捉えていて、一欠片の悪意なんてなくあれを警察相手にやってのけていたのだ。二人はAがその行為の意味を本当に理解していないことを悟り何とも言えない顔をして「どうも」と言うだけだった。聞くに中指を立てるポーズをAに吹き込んだのはどうやら神楽の奴らしく、後で詳しく事情を聞く必要がある。

Aは俺のその提案に「どうしてですか?」と不思議そうにしていたけれど、俺はあまりちゃんと説明しなかった。説明できるわけがない。中指を立てることの意味なんて。あんな純粋な目をしたAに言えるわけがない。Aは知らなくていいことなのだと俺は思う。いずれその意味を知ることになったとしても、今は知らなくていいのだ。

『ほら、中指立てるのって、なんかダルいじゃん。人差し指のがいいって』と自分でも理屈が分からないことを言った。だが後悔はしていない。


それから俺達も甘味処を後にして再び原チャリに跨がり、江戸の町を走った。Aを連れ出したのが昼過ぎだったからそろそろ日が暮れてくる。春がすぐそこまで来ているとはいえ季節はまだ冬なので、日が沈む速度は早い。

家まで送り届けることになっているとはいえ、あまり暗くなってからAを帰すわけにもいかない。そろそろ俺は今回出掛けることになった理由である目的の場所に彼女を連れていくことにした。

かぶき町を出て、その場所へと向かう道を走る。大通りを通ってそこから少し外れて、少しずつ目的地に近付いていく。

Aは俺の後ろでふと、振り返るように口にする。


「思っていたよりも、銀さんの暮らしている町は素敵なところでした」


先程までのことを思い出して噛み締めるように、Aは言って。俺は「そうか?喧しかっただろ」と返す。かぶき町は江戸に散らばる何処の町よりもうるさい。なんせ、ならず者の集まる町だ。


「私喧しいというか、賑やかだと思いました。あの町を歩く一人一人が生き生きとしてて、しっかり今を生きているって感じで、力強くて」

「ポエミーだな」

「ポエミーでした?」


そう言うとAはおかしそうにクスクスと笑って。その笑いの余韻が消えるよりも前に、続ける。

色の中に→←プロローグ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (39 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
197人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 坂田銀時
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» しーちゃん!いつもありがとうぅぅぅ忙しい中来てくれてありがとうねぇぇえ返事遅くてごめんんん!!シリアスシーンは私もHPをすり減らしながら書いてるからね(笑)ちょっと更新お休みするけど戻ってきたらまた頑張るので、よろしくお願いします!!! (2019年8月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピー姉さん!続編おめでとうございます!リアルが忙しくてなかなかこっちに顔を出せなかったんだけど、久しぶりに来てみたら続編まで出てて...!嬉しいの極みです(≧∀≦) ピー姉が書くシリアスシーンの緊迫感が好きだぁ...無理せずに更新ファイトじゃ! (2019年7月14日 10時) (レス) id: af0bbdf801 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 追いつめられたときのキャラを書くときは自分でもダメージを負います(笑)二人の物語が今後どの方向に向かっていくのか、見守っていてくださると嬉しいですれ応援ありがとうございます!(*^^*) (2019年7月8日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わわわっ……。もうー、これからどうなっていくのかドキドキですっ! 銀さんあんまり自分を責めないでっ。これからの展開がものすごく楽しみですっ! 応援してます! (2019年7月4日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 桜さん!ありがとうございます!!ですね!銀さんと言えば銀色です!夢主ちゃんは何色がいいかな…。私も優しい銀さんがめっちゃ好きですし繊細な夢主ちゃんと不器用ながらも接してくれるのがすごくツボです(笑)そう言って頂けるとやる気が出てきます!頑張ります! (2019年6月5日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2019年6月1日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。