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色の中に ページ3

「そうですね…町っていうのは、そこで生きる人が作るものなのだと思います。町は、例えるなら真っ白でまだ何も描かれていないキャンバスで、人々は各々違う色をした絵の具」


Aは語る。俺がポエミーだと言ったから、少し詩的な、文学的な感じを演出しているようだ。町はキャンバスで、そこで暮らす人々は絵の具。分かりやすいけれど、面白い例えだと思った。俺ではそんな例えは浮かばなかっただろう。比喩的に物事を説明したり伝えようとするのは苦手だ。


「最初こそ町は何の色も持っていない無色で、でもそこに色んな人が集まって、色んな色が集まって、町はその町だけの色を手に入れるんです。あの町の人達はみんな色を持っていて、けれど一人一人少しずつ色彩が違っていて、それらが同じキャンバスにそれぞれ思うように色を広げて、あるいは重ねて。そうやって出来ていくんだと思います」


かぶき町を見ていて、私はそんな印象を持ちました、と。Aは語った。彼女の話を聞きながら、俺は頭の中でひとつのキャンバスと、様々な千差万別な色の絵の具を想像した。そのひとつひとつ違う色を自由に、自分の好きなように真っ白なキャンバスに塗ったくっていって。それらはところどころで混ざりあい、色を変えたりして、絵の具の中にはなかった新しい色が生まれたりもして。そうやって出来ていったのが、かぶき町。なんだかそれはあの町にぴったりな気がした。混沌とした、けれど何処か穏やかさも含まれているあの町に。


「かぶき町の独特な色が、私は好きです。少しくらいうるさい方がが丁度いいんだと思います」

「成る程、そうなのかもな」


しっくりときた。素直にそう思うことができた。うるさいくらいが丁度いい。そんな気がしてきた。静かで閑散としたかぶき町なんて、全く想像できない。人々の喧騒も、ちょっとした喧嘩も笑い声もないかぶき町なんか、かぶき町ではないとすら思える。

あの町に住む人々の色が作った、かぶき町だけの色彩。


「その色の中に、俺も入ってんのかねェ」


なんとなく、俺は呟いた。


「勿論ですよ。銀さんの色も、あの町に混ざってます」


と、Aは言った。

それから、「銀さんの色は何色なんでしょうね」とAが言って、「何色だと思う?」と尋ねると「やっぱり、銀色?」と彼女は答えた。


そんな会話をしている間に、目的の場所が近付いた気配がした。なんだか懐かしく思えるにおいが鼻をついた。

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ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» しーちゃん!いつもありがとうぅぅぅ忙しい中来てくれてありがとうねぇぇえ返事遅くてごめんんん!!シリアスシーンは私もHPをすり減らしながら書いてるからね(笑)ちょっと更新お休みするけど戻ってきたらまた頑張るので、よろしくお願いします!!! (2019年8月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピー姉さん!続編おめでとうございます!リアルが忙しくてなかなかこっちに顔を出せなかったんだけど、久しぶりに来てみたら続編まで出てて...!嬉しいの極みです(≧∀≦) ピー姉が書くシリアスシーンの緊迫感が好きだぁ...無理せずに更新ファイトじゃ! (2019年7月14日 10時) (レス) id: af0bbdf801 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 追いつめられたときのキャラを書くときは自分でもダメージを負います(笑)二人の物語が今後どの方向に向かっていくのか、見守っていてくださると嬉しいですれ応援ありがとうございます!(*^^*) (2019年7月8日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わわわっ……。もうー、これからどうなっていくのかドキドキですっ! 銀さんあんまり自分を責めないでっ。これからの展開がものすごく楽しみですっ! 応援してます! (2019年7月4日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 桜さん!ありがとうございます!!ですね!銀さんと言えば銀色です!夢主ちゃんは何色がいいかな…。私も優しい銀さんがめっちゃ好きですし繊細な夢主ちゃんと不器用ながらも接してくれるのがすごくツボです(笑)そう言って頂けるとやる気が出てきます!頑張ります! (2019年6月5日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2019年6月1日 22時

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