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彼女のこと ページ44

「……実はあの子、あれから塞ぎ込んでしまっていて……状態が、あまり、良くないんです」

「ッ…」


Aの母親の言葉に、また心臓がドクンと動いた。Aが突然に発作を起こしたときの焦りや恐怖が思い出したかのように胸の中にじわじわと滲み出し、そして、死ぬのだと口にした彼女の声が、俺の耳元で囁くように聞こえたような錯覚を覚えてしまった。悪寒のようなものが背中を駆け巡り、落ち着け、と自身に言い聞かせながらに息を深く吸い込んだ。

彼女は続ける。遂に思い詰めたように顔を俯かせながら。


「娘から、話を聞きました。もう来ないでほしいと言ってしまったって。もうすぐ死ぬんだって言ってしまったって」


あの子、そう話しながら、酷く泣いてしまって、と。その言葉に、無意識に俯かせていた顔を上げた。娘の泣き顔を思い出したのだろう、悲痛なものをその顔に映していて、目の前の彼女も疲弊し、傷付いているのだと俺は思った。

Aはもしかしたら、俺が彼女に「好きだ」と伝えようとしたことを話したのではないかと思っていた。彼女は俺がそれを告げようとしていたタイミングで、俺の声を必死に遮っていた。俺が何を言おうとしているのか、気付いていたのだろう。気付いて、予測して、それを拒んだのだろう。けれどAはそのことについては、どうやら母親には話していないようだ。

Aの母親は更に続けた。胸を痛めているように、眉を寄せながら。「それから、」と。


「……貴方のことを、傷付けてしまったんだと言っていたんです」

「……え?」


思わず、俺は間抜けた声を漏らしてしまった。


俺……?

何を言っているんだ。傷付けたのは、俺の方じゃないか。俺が不用意に言葉を押し付けようとしたから、彼女は。

そうだ。彼女は自身に迫ってくる「死」を長い間背負っているのにも関わらず、俺が自分の感情を自分勝手に告げようとしたから、それを拒んで、きっとそれは彼女を傷付けて。

ただでさえぐちゃぐちゃな頭が更にかき混ぜられたように混濁して、訳が分からなくなる。


「……深くは話してくれませんでしたが、泣きながらそう言って……もう会えないって」


話が噛み合わない。俺が思っていることと、Aの母親が話してくれる彼女のこと。それらは繋がることなく、俺のものとはまた違うところで複雑に絡まり、ほどけなくなっている。

俺は数日前からもう顔を合わせていない、声も聞いていない彼女のことを考えるけれど、彼女が考えていることが、まったくと言っていいほど、分からなくなっていた。

単刀直入→←あの話



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ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» しーちゃん!いつもありがとうぅぅぅ忙しい中来てくれてありがとうねぇぇえ返事遅くてごめんんん!!シリアスシーンは私もHPをすり減らしながら書いてるからね(笑)ちょっと更新お休みするけど戻ってきたらまた頑張るので、よろしくお願いします!!! (2019年8月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピー姉さん!続編おめでとうございます!リアルが忙しくてなかなかこっちに顔を出せなかったんだけど、久しぶりに来てみたら続編まで出てて...!嬉しいの極みです(≧∀≦) ピー姉が書くシリアスシーンの緊迫感が好きだぁ...無理せずに更新ファイトじゃ! (2019年7月14日 10時) (レス) id: af0bbdf801 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 追いつめられたときのキャラを書くときは自分でもダメージを負います(笑)二人の物語が今後どの方向に向かっていくのか、見守っていてくださると嬉しいですれ応援ありがとうございます!(*^^*) (2019年7月8日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わわわっ……。もうー、これからどうなっていくのかドキドキですっ! 銀さんあんまり自分を責めないでっ。これからの展開がものすごく楽しみですっ! 応援してます! (2019年7月4日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 桜さん!ありがとうございます!!ですね!銀さんと言えば銀色です!夢主ちゃんは何色がいいかな…。私も優しい銀さんがめっちゃ好きですし繊細な夢主ちゃんと不器用ながらも接してくれるのがすごくツボです(笑)そう言って頂けるとやる気が出てきます!頑張ります! (2019年6月5日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2019年6月1日 22時

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