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客人 ページ42

外からの明かりが差し込んでいる玄関扉の方を見てみると、そこには人影があった。そのシルエットから見てとれる身長や佇まいから、恐らく女だろうということは分かった。なんてタイミングの悪い、と思いながら、けれどすぐそこに居るのに居留守をかます訳にもいかず、俺は渋々「はいはい〜」とその声に対して返事をした。依頼だろうか。それとも新聞か何かの勧誘だろうか。どちらにしろ望まない客人であるということは変わらなかった。ところどころ軋むような音を立てる廊下を踏みしめながらに歩いていき、俺は玄関扉のすぐ前まで辿り着く。部屋の中から新八と神楽が何事だろうかとこちらを覗いている気配がした。

扉に手をかけ、そして横に引いた。するとそこには、思いもよらなかった人物が目の前に立っていた。


「あ、やっぱり、ここで合ってたんですね、良かった」


安堵したように胸を撫で下ろしているのは、Aの母親だった。俺は驚いて目を見開かせてしまう。背中からも「あっ」と言う二人の声が聞こえてきた。


「は、春樹さん…」

「ごめんなさい、突然押し掛けてしまって」


申し訳なさそうに頭を下げながらAの母親は言う。俺は「いえ」と答えながら、内心では酷く戸惑っていた。そんな俺の心中を察したのかそうではないのか、彼女は顔を上げて続ける。


「お話があって参りました。お時間、大丈夫でしょうか…?」

「あ、いや、あの……大丈夫です、全然」


今日も今日とて万事屋に仕事は舞い込んでいない。


「良かった。……あの…落ち着いてお話が出来る場所に移動したいのですが、構いませんか…?」


と、Aの母親は奥の部屋に居る二人に気付いているのだろう、目をそちらの方にやりながらそう言った。俺は「分かりました」と応えて、少し待っていてほしいということを伝えた。一度部屋に戻り、財布やら何やら小物をポケットに突っ込み、「ちと出掛けてくる」とだけ告げて再び玄関に戻った。

扉を閉め、目配せをすると、頷いて彼女は階段の方へと歩を進め出した。





万事屋からそう遠く離れていない、10分程度の距離にある甘味処に俺達は訪れた。

今の時間帯は飲食店は込み合いそうなものだけれど、この店は裏道に入っていったところにある目立たない店舗だったため、店内は空いていてすぐに席に座ることが出来た。俺も知らない甘味処で、知る人ぞ知る、という雰囲気がしていた。

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ピピコ(プロフ) - 獅子の子さん» しーちゃん!いつもありがとうぅぅぅ忙しい中来てくれてありがとうねぇぇえ返事遅くてごめんんん!!シリアスシーンは私もHPをすり減らしながら書いてるからね(笑)ちょっと更新お休みするけど戻ってきたらまた頑張るので、よろしくお願いします!!! (2019年8月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - ピー姉さん!続編おめでとうございます!リアルが忙しくてなかなかこっちに顔を出せなかったんだけど、久しぶりに来てみたら続編まで出てて...!嬉しいの極みです(≧∀≦) ピー姉が書くシリアスシーンの緊迫感が好きだぁ...無理せずに更新ファイトじゃ! (2019年7月14日 10時) (レス) id: af0bbdf801 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 追いつめられたときのキャラを書くときは自分でもダメージを負います(笑)二人の物語が今後どの方向に向かっていくのか、見守っていてくださると嬉しいですれ応援ありがとうございます!(*^^*) (2019年7月8日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わわわっ……。もうー、これからどうなっていくのかドキドキですっ! 銀さんあんまり自分を責めないでっ。これからの展開がものすごく楽しみですっ! 応援してます! (2019年7月4日 18時) (レス) id: f38863f7c8 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 桜さん» 桜さん!ありがとうございます!!ですね!銀さんと言えば銀色です!夢主ちゃんは何色がいいかな…。私も優しい銀さんがめっちゃ好きですし繊細な夢主ちゃんと不器用ながらも接してくれるのがすごくツボです(笑)そう言って頂けるとやる気が出てきます!頑張ります! (2019年6月5日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2019年6月1日 22時

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