バカにしてんの? ページ5
いぶかしげに眉を潜め、疑うような目を私に向け続ける土方さん。尋問されているような感覚に背筋が少し伸びるが、どうやら私はその場に馴染むのが上手いらしい。射すような目線にも馴れてきたため、緊張から来る心臓の音は落ち着いてきた。
まぁ、こんなトリップなんていう不可思議な現象にあっているにも関わらず結構普通に過ごせているのだからそうなるわな。メンタルとか鍛えられるわな。
そんなことを気休めに考えながら、店員が持ってきてくれたお冷やを一口。そして私も背もたれに背中を預けて一息つき、土方さんの目を見返す。
「……有名人だからと、この間も答えたはずですが」
そうだ。あの時、初めてこの二人に遭遇した時に「有名人なんで…」と曖昧に答えたのを覚えている。まぁ、そう簡単に誤魔化しきれるとも思わないけれど。
土「俺にゃ、しらばっくれているとしか見えなかったがな」
そりゃそうだよ事実だもの。真っ赤な嘘だもの。そんなんどうしろと言うんだ。最早開き直りすぎてごもっともな言葉に苛立ちを覚えてしまう。
……まさか、トリップして来ましたーなんて言ったって、この堅物はきっと信じたりなんかしない。くだらねぇ嘘はやめろとかなんとか言うに決まっている。でもこれは喋らないと解放してくれそうにない気もする。困ったものだ。
沖「すいやせーん」
と、その場のシリアスな雰囲気を無視して沖田総悟は手を上げて店員を呼び出した。コイツに雰囲気なんてものは通用しないらしい。
はーいと答えてすぐに注文をとりにきた店員に、「和風ハンバーグお願いしまさァ」と。ハンバーグとか、以外と可愛いもん選ぶんだな。
沖「土方さんはどうしやすかィ」
土「……俺も同じ物で」
土方さんがそう言うと沖田は私に目線をやり、
沖「テメーはどうする。なんか食うのかィ」
と。そんな言葉に私は思わず「は?」と溢しギロリと音が出そうなほどにソイツを睨んだ。
「何アンタバカにしてんの何なの。一応言っておくけどねぇ、私万事屋の人間なの。ファミレスで食べ物食べられる程裕福じゃないの。只今絶賛赤字なの分かる?」
分かったらその口をさっさと閉じろ的なオーラを出しながら捲し立てるように言う。万事屋の金欠舐めんなよ公務員が。
沖「心配いらねーよ。土方さんが出してくれるらしいから」
土「何勝手なこと言ってんのお前!?」
「マジでか。じゃあこのハンバーグと唐揚げの奴で」
土「オイちょっと待てエエエ!!」
コントのようなやり取りを繰り広げる私達に、店員は苦笑いを浮かべるだけだった。
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ピピコ(プロフ) - 悠さん!『忘れねぇよ』に続きこちらでもコメントありがとうございます!この作品はギャグもシリアスもお楽しみ頂けるものにしているつもりなので、そう言って頂けると嬉しいです!長ったらしく続いておりますが、引き続きお楽しみ頂けたら幸いです! (2017年8月9日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - とても面白かったです!特にギャグの部分が好きです。トリップの話は今回初めて読みましたが、感動しました!これからも、頑張ってください!応援しています!ピピコ様の書く小説大好きです! (2017年8月9日 16時) (レス) id: 7d25b2e8fd (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - オロナミンCさん» そんなに誉めて頂けるとは…!!感激です!ギャグとシリアス、どちらも楽しんで頂けているなら幸いです!!これからも笑いあり涙ありを目指して頑張らせて頂きますので、少しでも楽しんで貰えたら嬉しいです!ありがとうございました!! (2017年7月29日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
オロナミンC - ギャグもシリアスもちょうどいいぐらいにあってとても読みやすく面白く感動します。楽しく読ませていただきました。 (2017年7月29日 17時) (レス) id: e86c711444 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - いちごみるくさん» 本当ですか!?そう言って頂けて嬉しい限りです!これから少しずつ物語が動いてくるので感動できるものを書けるように頑張ります!ありがとうございます!! (2017年5月3日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年4月19日 11時